天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい


「ああ、それじゃ翠。実は公表してないんだが俺こっちに先週引っ越してきたんだ。これからは日本で生活する」

「へぇ」

「翠はこの辺の人?」

「まぁ」

「いろいろ揃えたいんだけど、俺全然わからなくて」

「はぁ」

「付き合ってくれ」

「え、やだ」

「俺、助けただろ」

いや頼んでない…
とは言えないか。

「どうも?」

すると携帯をズイっと出される。

「連絡先」

「は、はぁ」

私も何でか携帯を出す。
するとスッと私の手から携帯を抜き取り操作して交換されてしまう。

「登録しておいて」

「あ、うん」

「フルネームやめろよ」

「鶴宮?」

「いやそこは律だろ」

「わかった」

「家どこ? 送る。って言ってもタクシーだけど」

そう言ってさっさとタクシーを捕まえ乗せられる。

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