天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
「もう我慢できない」

そう言って彼はピリッと袋を開けて準備すると、私に跨り腰を沈めた。

「んっ…」

大きさだけは一丁前よね。

私はこういう相手とはあまりキスとかもしなくていい。

でも彼はしたいらしい。

僅かに開いた唇の間から彼の熱い舌が入ってくる。

あんまり気持ち良くない。

「翠っ…」

そう言って最後にガンと突き上げられる。

痛っ。

やっぱり合わないわ。

そしてようやくシャワーを浴びて着替えると後ろから抱きしめられる。

「翠。好きだよ。そろそろ付き合ってくれないか?」

まただよ。

「ごめんね、将生(まさき)。私たちこれっきりにしましょう」

「え、なんで?」

合わないからだよ。

「私、好きな人がいるの」

いませんけど。

「いつから?」

どうでもいいじゃーん。
そこまで考えてなかったよー。

「こないだ…」

「俺はそれでもいいよ」

いやいやダメだろ。
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