天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
ど、どういう事これ。

しばらくドアを見つめたまま動けない。

お、おんぶでこんな所まで連れてこられてしまった。

腹黒は?
腹黒ヤローじゃなかったの?

私はそのままヘナヘナと座り込んでしまった。

そして今あった出来事を振り返る。

飛び降りだと思って慌てて助けられて…
しかもなんか慰められた?

追っかけだと勘違いして失礼な事を言ったと謝られ…
歩けない私をおぶってくれた。

そしてこの辺を教えて欲しいとお願いされて連絡先を交換して…

部屋までまた送ってくれた…

は?

どゆこと?

あの時の彼と同じ人よね?

私の頭の中は軽くパニックを起こしている。
loading中のPCのように動けない。

あれが世界的ピアニスト?

あのステージで息を飲むような演奏を繰り広げたあの彼?
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