天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
「えー?」

つい誰もいない部屋で大声を出してしまう。

ど、どういう事?

あの時あんなに氷点下の眼差しで私に邪魔だと言い放ったのに?

なのに勘違いとはいえ助けたの?
実はそんなに悪い人じゃない?

もうよくわからん。

どんだけ追っかけ嫌いなのよ。
ちょっと笑っちゃうんだけど。

まぁでもやっぱり表向きの顔とは違う。

今日の彼が本当の彼?

と、とりあえずシャワーを浴びよう。
やっと我に返りゆっくりと立ち上がる。

正直言って送ってくれて助かった。
あとでちゃんとお礼言っとこう。

お風呂に入って踵を見てみれば見事にベロっと皮が剥けて血が出ていた。

だよね。
通りで痛いわけだ。

パンパンに浮腫んだ脚を湯船の中でマッサージするようにほぐす。

「はぁ…」





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