天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
寝具だけは車で持って帰る事にして、後ろに積む。

「もっとデカい車いるか」

「今だけでしょ」

「翠はどんな車が好き?」

私の周りはこぞって外車の大型SUVだらけだ。

「SUVとか?」

とりあえず言ってみる。

「SUVカッコいいもんな」

いやこれもだいぶカッコいいですぜ?

「そうだね。荷物入るしね」

「だよな。おし、夜飯食いに行こう。何がいい?」

まさか買う気か?

「律は? やっぱり日本食?」

「まぁ、そうだな。でも翠が食べたいのでいい」

なんかこの人、やっぱり優しいよね?

「ふふふ。それじゃ、すき焼きとお寿司どっちがいい? 美味しい店知ってるよ!」

「おお。ならすき焼きがいいな」

「行こうー!」

私はゴー! とグーの手を出した。

それを見た律はクスッと笑うと返事をするみたいに車をブォンと鳴らして発進させた。
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