天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
お互いパーカー姿で高級すき焼き店に入る。

「ちょっと服装ラフ過ぎたね」

「はは。だな。まぁ、いいだろ」

そして案内されて、律はメニューを私に渡す。

「どれがオススメ?」

ここはウェルカムジャパンて事で私が出そう。
昨日のお礼も兼ねて。

「これ。間違いなくこれ」

「米沢牛?」

「そ。凄いから。霜降りで」

「そうなのか? 食べた事ないかもしれない」

「んじゃ絶対食べて欲しい! ぶっ飛ぶよ?」

「はは。んじゃ飛んでみるか」

そう言って店員を呼ぶと、律は言われた通り米沢牛のすき焼きを三人前も頼んだ。

思わず丈慈たちみたいで笑ってしまう。

「俺、めっちゃ食うのよ」

そうなんだろうね。
デカいしね。

「律は鍛えてる? ピアニストってもっとこうひょろっとしてるイメージだったんだけど私」

「ははは。わかる。ピアノも好きだけど身体動かすのも好きなんだ。ジムもどこか決めたいんだよな。あんまり怪我するような事は出来ないけど」

「何か好きなスポーツとかあるの?」

「水泳は得意。唯一習い事でやってた」

「そうなの? 私も水泳してたよ!」

「おお、一緒だな。今度ダイビングでも行ってみる?」



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