天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
「行きたい! ダイビングも得意!」

「はは。今度行こう」

どうやら今後もよろしくしてくれるらしい。

そして間もなく料理が運ばれてきた。

もうヨダレが出そう。
ゴクッと唾を飲むと律と目が合った。
律はそんな私を見てフッと笑う。

「美味そうだな。いただこう」

「うん! いただきます!」

卵をといたお皿に霜降りのお肉を潜らせバクっと食べた。

「んー!」

これこれ!
うんまっ!
思わず地団駄を踏みはしゃいでしまう。

私が食べるのを見てから、律はクスッと笑うと自分も食べた。

「おお。美味いな。舌の上で溶けてく」

「歯いらないよね」

「総入れ歯のじーさんなってもこれなら食えそうだわ」

総入れ歯のじーさんになる気でいるらしい。

「ははは! 面白すぎ」

「その頃きっと頭もツルツルだろうな」

「ちょっと笑わせないでよ」
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