天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
「ごめんね急に! これ作りすぎたからあげる! じゃ」

そう言って、玄関のドアの前でタッパーだのなんだのって入っているだろうクーラーボックスごと渡される。

「ちょちょ! 待て待て!」

「急いでるから! じゃね!」

そう言って翠はほとんど目も合わせずに行ってしまった。

は?

てかこんなんどうやって持ってきたん?
力持ちか?

いったんリビングに持っていって、クーラーボックスの中を覗くと、飲み物や翠が作りすぎたと言った料理の入ったタッパーなどがしっかりと保冷剤と一緒に入っていた。

まさか、わざわざ作ったとかないよな?

冷蔵庫もまだ届かないし。

はぁ。
なんなの。

あんま可愛い事すんなよな。

そして喉がカラカラだったので有り難く水をいただく。

そして上半身裸にパンツ一丁でタオルを首にかけたままだった事に今更気づいた。

あ、もしかしてこれ見て慌てて帰った?
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