天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
〜翠side〜

びっくりしたぁ。

律になんとかクーラーボックスを届けたのはいいものを帰りのエレベーターで心臓がおかしな動きをしている。

まさか裸で出てくるなんて!
丈慈ので見慣れてるじゃないあんなの!

そして無理矢理連れてきた丈慈の車に乗り込んだ。

「おい」

「なに」

「何いまの」

「いいから。はい、帰ろ」

「は? これだけの為に俺を呼んだのか?」

「なによ。しょうがないでしょ車ないんだから」

「もう車買えば? 免許あんだろ」

なんて言いながら車を出した。

「えー。だってパパに言ったら絶対大きいの買うじゃん」

「ははは。確かに。なぁ、お前鶴宮ってピアニストと知り合いなの?」

は?

「な、なんで?」

「いや? なんとなく」

「なわけないじゃん」

「ふぅん。あいつカッケぇよな」

「そう?」

「ああ」

珍しく他人に興味を持ったらしい。
丈慈を見ればなんかニヤニヤしてるし。



< 87 / 311 >

この作品をシェア

pagetop