天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
「なのに天音といたから、なんかアイツ俺が浮気してると思ったらしくて怒られた」

「怒られた?」

なんで律がそれで怒るの?

「妻も悲しむし、お前にも不誠実だって。やめろって」

え…

「それいつの話?」

「先々週あたりか?」

それって律がこっちに来たばかりじゃん。
しかも私と会う前じゃん。

「ちゃんと妹って言った!?」

「いや…。悪い。変なやつなら勘違いしたままでいいかと思って…」

「はぁー? んじゃ、私丈慈の不倫相手って事になってんの!?」

「たぶん」

「勘弁してよ! えー!? でも私兄貴って言ったのに何で切られんの?」

「兄貴とできてるとでも思ったんじゃね?」

「嘘でしょ!? ちょっと!」

「お前、アイツの事好きなの?」

丈慈に聞かれて、よく分からなくて答えられない。

「……わかんない。ただ今は普通に友達みたいな感じなだけ」
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