天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
♦︎♦︎♦︎

〜律side〜

翠を夜ご飯に誘い、指定された場所で翠を待つ。

ちょうど曲を思いついて急いで忘れる前に譜面に音符をメモしていく。

そして書き終えて顔をあげれば少し先の方で翠が誰かと話し込んでいた。

ん?
揉めてる?

そして車から降りて少し近づくと、神楽丈慈が現れて翠の腰に当たり前のように手を回した。

そして何か一言二言告げたのか、そのままあの白のSUVに翠を乗せた。

俺の女…
それだけは聞こえた。

あー。
そういう事?

俺は直ぐに車に乗り帰る事にした。

他に予定が出来たなら連絡くらいよこせよ。
つい苛立ちが隠せずアクセルを強く踏んでしまった。

まぁ俺は翠にとってはただの友人なんだろうから、不毛な相手とはいえ向こうを優先するのは当然か。

クソ。

するとすぐに翠から電話がかかってきた。

話を聞けば、あの神楽丈慈は兄貴だと言う。
は?
俺は見たぞ、その兄貴とキスしてる所。

不倫はともかく兄妹で?

なぁ。翠。
それは止めろ。
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