~なぜなら私は、悪女ですから~国外追放された悪役令嬢は、過去に戻って罪滅ぼしをするつもりが、第3王子に溺愛されています

第4話 次はいい子に


「先週の話だ。だんだんと顔色が悪くはなっていたが、まさか自分で命を絶たれるとは……」

「では、次の皇太子は……」

「そりゃ、順番的に第二王子のカデオ様に決まっているだろう。まぁ、あの方もよく出来たお方だから、きっと大丈夫だろうが、本当に悲惨な話だよ。お前も事の重大さを理解してここら辺で息絶えてくれねぇか。物をもってくるのも一苦労だからよ」

 違う。アンジェロ様は、自害したんじゃない。きっとカデオに殺されたに違いないわ。
 カデオが私に耳打ちした言葉を思い出した。

ー大業を成すための生贄になってくれー

「アンジェロ様が自害なんてしない。カデオがアンジェロ様を殺した……きっとそうよ」
「お前! 全然反省しちゃいねぇようだな!」

 男は私の髪を引っ張ると、頬を引っ叩いた。体力の限界に来ていた私は床に勢いよく倒れる。
 その後も男は、私の体を何度も何度も蹴り続けた。

「このやろっこのやろっ! お前のせいでアンジェロ様もマーガレット様も死んだんだ! そのまま死んでしまえ! この魔女! 悪女!」
「やめて! 手を出さないで!」

 アリッサが木製の椅子を持ち上げて男の後頭部を殴る。しかし、ひ弱な彼女の力では致命傷を与えることはできない。男の怒りを煽るだけになってしまった。

「やりやがったなこの女!」

 今度は男はアリッサを押し倒し、馬乗りになって殴り続ける。
 
「やめて! やめなさい! これは命令よ!」

 私がいくら言っても、男は殴るのをやめなかった。
 
「やめて! お願いやめてよ!」

 しばらくして男は満足したのか、アリッサを解放した。
< 10 / 12 >

この作品をシェア

pagetop