~なぜなら私は、悪女ですから~国外追放された悪役令嬢は、過去に戻って罪滅ぼしをするつもりが、第3王子に溺愛されています
「ちぃっとやりすぎたか。しかしまぁ良かったじゃねぇかアリッサ。最期に自分の娘に会うことができてよぉ」
自分の娘……?
この男は何を言っているの?
「自分の娘……?」
「おっと、うっかり口を滑らせてしまった。まぁいいか。そうさ。アリッサはお前の本当の母親なんだよ。旦那様がこの塔に送るようにオデュロー王にお願いしたそうだ。旦那様はなんと慈悲深いお方だ。悪いことばっかしていたお前を本当の母親に会わせてやるなんてな」
私は虫の息になったボロボロのアリッサを見た。
「お母様……?」
「ロザリー。私の、私の愛しの娘……」
「あぁ。そんな! あなたが母親だなんて!」
私は無我夢中で駆け寄り、ひたすらに殴られたアリッサの顔を必死に撫でる。
「旦那様との間にあなたが生まれてから私はお金を盗んだと根も葉もない罪に問われてサイガーダへ送られたの。でも良かった。こうしてあなたのそばにいることができたのだから」
「何ってるのよ、あの男が言ってたの聞いてた!? 私はオデュロー国一の悪女なの。皆に意地悪したり、酷いことばかりしてきた悪い女なのよ。人を誤って殺した愚かな女なの! こんな娘、恥ずかしいったらないでしょう!? 産まなきゃ良かったって思うでしょう!?」
泣きじゃくりながら叫んでいると、アリッサの手がゆっくりと私の頬に触れる。
「そんなこと一度も思ったことないわ。あぁ、ロザリー、悪い子ね……次は、次はいい子にできる?」
「うん。いい子になる。いい子になるからお願い死なないで」