~なぜなら私は、悪女ですから~国外追放された悪役令嬢は、過去に戻って罪滅ぼしをするつもりが、第3王子に溺愛されています

 この世界のどこを探しても見つからない美しい赤い花のようだと言われて育った。
 貴重で高価な宝石に素敵なドレス。可愛らしいアクセサリーに靴に香水。
 欲しいからものは必ず私の手の中に入っていく。
 手に入らないものなんてない。

 だから、アンジェロ様も絶対に私のものになる。

 そう思っていた。

 そう、思い上がっていた。

 その考えがいけなかったと気づいた時にはもう全て遅かった。


「マリーティム公爵家の令嬢、ロザリンド・フォン・マリーティム! フェードルス伯爵家の令嬢、皇太子アンジェロ様の婚約者であるマーガレット様の毒殺を図った。これは非常に悪質で非道な行為であるぞ!」

 私は薄汚れた囚人服を着せられて王の待つ「不死鳥の間」で跪く。
 大臣が厳しい口調で私に言う。

「罪を認めよ! ロザリンド!」
「私はそんなことしていない! マーガレットを殺してなどいませんわ!」

 懸命に否定している中、大臣が懐から植物を取り出した。

「これがお前の部屋から見つかった。これは他枯草という猛毒の植物。この毒草をマーガレット様の飲み物に入れたんだな」

「違います! よく似ていますが、私が入れたのは別の植物です! 吐き戻し草という誤飲した時の薬に使われる植物を入れたのですわ」

「なぜそんなものを彼女の飲み物に入れた!」

「それは……マーガレットがアンジェロ様の婚約者になることが許せなかったのです。少し気分を悪くさせて皆の前で恥をかけばいいと思っただけで、殺すつもりはなかった。ただの可愛いイタズラでしょう? それに殺してしまえば、こちらが不利になるのは目に見えていますわ」

 大臣たちの軽蔑の眼差しが突き刺さる。話をしている大臣はさらに言葉を発した。 

「他のご息女たちはそうは言っていなかったぞ。もう一度証言してもらおう。三人を前へ」

 大臣は右手を上げて、私の取り巻きエーミル、アラーナ、リリシアを呼んだ。
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