悪名高きロザリンドが英雄になったわけ
第13話 ダース王子の助け
植物を操る能力。私が授かった能力だ。
私は成長した薔薇たちに命令する。
「彼らに巻きつきなさい。棘を刺して、血を啜っても構わないわ」
薔薇はスルスルとしなやかに人喰い木に向かっていく。
人喰い木は振り払おうとしたが、私が傀儡を操るように薔薇をコントロールしており、そう簡単に払うことができない。
人喰い木は全部で6体。こちらの薔薇も6本。
大丈夫、なんとか倒せる。
私は3本同時に薔薇を操り、木の化物達に攻撃する。蔦の速さにそれらは追いつくことができない。
さらに3本。私は指を器用に動かして人喰い木全ての動きを止めることに成功した。
「ふん。大したことないわね」
それから私は懐から照明弾を取り出し、頭上に放つ。
赤い花火が大きく打ち上がった。これですぐに先生が助けに来てくれることだろう。
そう思ってホッとしたのも束の間、地響きが鳴り、私は一瞬だけバランスを崩した。
「何? 何なの?」
濃霧の中から大きなシルエットが浮かび、こちらに近づいてくる。
「ま、まさか!」
そのまさかだった。
通常よりもさらに一回り大きいオークが3体もここへやってきたのだ。
「ここは人喰い木の縄張りなのに! なぜオークが!」
オークは動きを止められている人喰い木を見て、ニッと笑うと棍棒を使って彼らを薙ぎ倒した。
なんて威力だ。
私は薔薇の蔦を使ってマーガレットを茂みに隠した。
「オーク! こっちよ!」
なんとしてもマーガレットから彼らを遠ざけないと。
人喰い木をさんざん倒した後、彼らは私を見つける。
それから雄叫びを上げると、大きな足でこちらに向かってきた。
私はオークに捕まらないように全速力で走る。
最悪の鬼ごっこの始まりだ。