~なぜなら私は、悪女ですから~国外追放された悪役令嬢は、過去に戻って罪滅ぼしをするつもりが、第3王子に溺愛されています
不死鳥の間のにいた誰もが驚き、私自身も頭を打たれたような感覚に陥る。
「嘘よ。お父様嘘よね!」
ここでやっとお父様が私を見た。だがその目は、今までの温かい愛情のこもったものではなく、まるで他人の子を見るような目だった。
「お前は、私と召使いとの間で誤って生まれてしまった子供だ。ロザーナが死んで日が浅く、子供もいなかったため仕方なく正妻の子供として迎えたのだ。お前に対する愛情などただの仮物。所詮、卑しい女から生まれた娘だ。どうなろうがかまわん。この一族の恥晒しめ! お前が生まれなければこんなことにはならなかったのだ!」
「そんな……そんな嘘よ」
オデュロー王は眉間をなぞりながら、ふうむとため息をつく。
「決まりだな。では、罪多きロザリンド・フォン・マリーティムよ。極寒の地サイガーダで己の罪を悔い改めるがよい!」
「嘘よぉぉぉ!」
アンジェロ様は兵士たちに命令した。
「この者を連れていけ。国外追放だ」
「アンジェロ様! アンジェロ様! 違うんです! 私はやっていません!」
麗しきアンジェロ様は私を見ることなく、死人のような青い顔のまま、不死鳥の間から出ていった。
私は力の限り叫んだ。
「アンジェロ様―――!」