~なぜなら私は、悪女ですから~国外追放された悪役令嬢は、過去に戻って罪滅ぼしをするつもりが、第3王子に溺愛されています
なぜか手を引っ込めることができない。
目頭が熱くなり、大粒の涙が次々と頬から落ちていく。
私はここでやっと泣くことができたのだ。
「大丈夫。大丈夫ですよ。ロザリンド様。この私がおりますから。あなたをひとりぼっちにはさせませんよ」
小さな子供に戻ったように私はわんわんと声を上げながら泣き、アリッサは私を優しく抱きしめた。
***
サイガーダへやってきてから三年。自分の身の回りのことは自分でやるようになり、心も次第に穏やかになっていった。これもアリッサのおかげなのか。こんな生活でも彼女がいるなら悪くないかもと少しばかり思うようになった。
だが、問題があるそれは物資が日に日に届かなくなってきたことだ。これでは二人とも飢え死にしてしまう。そう心配していたある日、暖かそうな毛皮を着た男が物資をもってきた。
「なんだよ。お前らまだ生きてやがったのか」
男は食材が入っている汚い袋を床に投げる。アリッサは怒っていた。
「来るのが遅いじゃない。ロザリンド様が飢え死にしたらどうするつもり?」
「パレードでも開くかな。そうだ、ロザリンド。お前にとってめでたいことがあるぜ。オデュロー国最悪の悪女にお前の名前があがったんだ。なぜかわかるか? お前がマーガレット様を殺したせいで、皇太子アンジェロ様が自害されたんだよ」
アンジェロ様が……自害……?