国外追放から帰ってきた伯爵令嬢は、スタンピードをやっつけて宮廷魔術師になりましたが、平凡な生活を目指していたので、32才年下の国王陛下に婚約を迫られて困っています!!~改訂版~
長期戦
2週間経っても、魔物の数は減らなかった。それどころか、食料調達が間に合わなくて食料が尽きかけていた。
「先生、精霊達が・・・・・・」
「これだけ森が燃えたんだ。力を貸したくなくなるかもね」
魔物を倒す際に炎を使っていたせいか、森の半分が焼けていた。森が焼けることに対して不満があるのか分からないが、精霊達の助力は借りることが出来ず、精霊達への祈りも無効な状態が続いていた。
「森が・・・・・・森が燃えなければいいんですよね?!」
「シャルロット?!」
「やってみます・・・・・・木よ森よ、我らの祈りは汝の祈り、我らの願いは汝の願い・・・・・・ウォールバリケード!!」
魔物の軍勢が向かってくる最中、木々が呼応して森の入り口に巨大なバリケードが出来上がった。背の高い柵が張り巡らされた形になり、魔物の集団はこちら側へ来られない様である。
「ふっ・・・・・・シャルロット、やり過ぎだ」
ガルシア先生は笑いながら、私の後ろを見ていた。後ろを振り返ると、青筋を立てたギルド長がそこには立っていた。
「嬢ちゃん、そう言うのは俺に、ひと言相談してからにしてくれるか?」
「ひっ・・・・・・すみません!!」
私達の様子に気がついた若い冒険者が1人、こちらへ駆けてきた。
「ギルド長!! 俺は東の川付近へ行ってきます。誰か西方面へ向かわせてください」
「ああ、すまない」
「ギルマス、これは案外いけるかもしれませんよ? あんまり怒らないであげてくださいね」
冒険者は、私達にウインクすると走り去っていった。
「おい、西へ!! 西へ誰か向かえ!!」
魔物は柵に体当たりしていたが、どうやら左右に分散して、策の途切れる右端と左端から、こちら側へ向かってくるようになったようだ。
「ギルマス、良かったじゃないですか。これで少しは休めますよ」
「まあ、結果的には・・・・・・だがな。嬢ちゃん、さっきも言ったが、これからはこういうことをする前に、相談するように」
ギルド長は、私を横目で睨むと頭に手を置き、私の髪をクシャクシャになるまで撫でていた。
「す、すみません。あの・・・・・・皆さんは左右に別れて、戦っているのですか?」
「ああ。東側の柵の切れ目の先には、太い川が流れているから、右からの魔物は柵に阻まれて少しずつしか入って来れない。対する西側にも、崖があって同じように少しずつしか、魔物がこちらへやって来られないようになった・・・・・・と思う」
「で、私達は休める訳」
「いや、長期戦覚悟でいこう。少ししたら真ん中にも穴を空ける・・・・・・嬢ちゃん、出来るか」
「大丈夫です」
「まだ続けるか~正直、私は魔力がスッカラカンになりそうなんだ。応援は来ないのか?」
「分からん。もうそろそろ来ても、いい頃なんだが・・・・・・ほらよっ」
「えっ?!」
ギルド長がガルシア先生へ向けて、何か小瓶のような物を投げていた。ガルシア先生は瓶のラベルを見て、『信じられない』という顔をしている。
「ハイポーション?? ギルド長が飲むつもりだったの?・・・・・・魔術、使えたんだね」
「少しだけだ。何があるか分からなかったからな。一応、持ってきたんだ」
「ありがとう。これであと2週間は戦える」
「そりゃ、良かった」
「ギルド長!! フォース国から応援が来ました。食料支援もあるようです」
駆けつけた冒険者から報告があったのは、自国からの応援兵士ではなく、他国兵士の到着であった。
「先生、精霊達が・・・・・・」
「これだけ森が燃えたんだ。力を貸したくなくなるかもね」
魔物を倒す際に炎を使っていたせいか、森の半分が焼けていた。森が焼けることに対して不満があるのか分からないが、精霊達の助力は借りることが出来ず、精霊達への祈りも無効な状態が続いていた。
「森が・・・・・・森が燃えなければいいんですよね?!」
「シャルロット?!」
「やってみます・・・・・・木よ森よ、我らの祈りは汝の祈り、我らの願いは汝の願い・・・・・・ウォールバリケード!!」
魔物の軍勢が向かってくる最中、木々が呼応して森の入り口に巨大なバリケードが出来上がった。背の高い柵が張り巡らされた形になり、魔物の集団はこちら側へ来られない様である。
「ふっ・・・・・・シャルロット、やり過ぎだ」
ガルシア先生は笑いながら、私の後ろを見ていた。後ろを振り返ると、青筋を立てたギルド長がそこには立っていた。
「嬢ちゃん、そう言うのは俺に、ひと言相談してからにしてくれるか?」
「ひっ・・・・・・すみません!!」
私達の様子に気がついた若い冒険者が1人、こちらへ駆けてきた。
「ギルド長!! 俺は東の川付近へ行ってきます。誰か西方面へ向かわせてください」
「ああ、すまない」
「ギルマス、これは案外いけるかもしれませんよ? あんまり怒らないであげてくださいね」
冒険者は、私達にウインクすると走り去っていった。
「おい、西へ!! 西へ誰か向かえ!!」
魔物は柵に体当たりしていたが、どうやら左右に分散して、策の途切れる右端と左端から、こちら側へ向かってくるようになったようだ。
「ギルマス、良かったじゃないですか。これで少しは休めますよ」
「まあ、結果的には・・・・・・だがな。嬢ちゃん、さっきも言ったが、これからはこういうことをする前に、相談するように」
ギルド長は、私を横目で睨むと頭に手を置き、私の髪をクシャクシャになるまで撫でていた。
「す、すみません。あの・・・・・・皆さんは左右に別れて、戦っているのですか?」
「ああ。東側の柵の切れ目の先には、太い川が流れているから、右からの魔物は柵に阻まれて少しずつしか入って来れない。対する西側にも、崖があって同じように少しずつしか、魔物がこちらへやって来られないようになった・・・・・・と思う」
「で、私達は休める訳」
「いや、長期戦覚悟でいこう。少ししたら真ん中にも穴を空ける・・・・・・嬢ちゃん、出来るか」
「大丈夫です」
「まだ続けるか~正直、私は魔力がスッカラカンになりそうなんだ。応援は来ないのか?」
「分からん。もうそろそろ来ても、いい頃なんだが・・・・・・ほらよっ」
「えっ?!」
ギルド長がガルシア先生へ向けて、何か小瓶のような物を投げていた。ガルシア先生は瓶のラベルを見て、『信じられない』という顔をしている。
「ハイポーション?? ギルド長が飲むつもりだったの?・・・・・・魔術、使えたんだね」
「少しだけだ。何があるか分からなかったからな。一応、持ってきたんだ」
「ありがとう。これであと2週間は戦える」
「そりゃ、良かった」
「ギルド長!! フォース国から応援が来ました。食料支援もあるようです」
駆けつけた冒険者から報告があったのは、自国からの応援兵士ではなく、他国兵士の到着であった。