国外追放から帰ってきた伯爵令嬢は、スタンピードをやっつけて宮廷魔術師になりましたが、平凡な生活を目指していたので、32才年下の国王陛下に婚約を迫られて困っています!!~改訂版~

王への謁見

 翌日の午前中に国王陛下に謁見するための使者を出すと、翌々日には王都の中心部にある城へ来ていた。

 侯爵邸で侍女に手伝ってもらい、正装をした私はセバスチャンに連れられて、謁見の間の前にある控え室まで来ていた。

 現王は20才と聞く。優秀だが即位して日が浅いため、側近に舐められた態度を取られることが多いらしい。プライドが高く、宰相に言いくるめられると腹を立て、機嫌が悪い日も多いらしい。

(国民栄誉賞を辞退して、不興を買っても不味いわね・・・・・・様子を見て、適当に帰りましょう)

 秒で帰ろうと心の中で決めていたが、1人前の謁見者との話が長引いているのか、1時間以上待っていた。

 待ちすぎて欠伸が出そうになった頃、城の侍従が呼びに来た。

「行ってきます・・・・・・」

「いってらっしゃいませ、お嬢様」

 入口でセバスチャンに見送られると、二重扉になっている内扉を押し開けた。赤く長い絨毯の上を歩いて行くと、玉座には10才くらいの少年が座っていた。透きとおるような青い瞳に銀色の髪をしているが、どういう訳か、私を射抜くように見つめていた。

(現王の子供かしら・・・・・・それにしては、大きいわね)

 玉座の前で頭を垂れると、王が現れるのを待った。しかし、誰も現れないばかりか、誰も何も言葉を発しなかった。

(・・・・・・あれ?)

「シャルロットよ、国外追放されている間に、貴族としての挨拶の仕方を忘れたか?」

「ん?」

「我こそはセスノット国の国王、マルクス・セスノットである」

(ん? 子供では?・・・・・・でも、家臣達の様子からすると嘘ではないのかも)

「ご挨拶が遅れて申し訳ありません。シャルロット・モルトローズでございます。この度は、ご過分なご配慮ありがとうございます。感激で言葉も出ませんでした。国民栄誉賞を与えていただけるとのことで、ありがたくお受けいたします」

「うむ・・・・・・だが、今回来て貰ったのは、その事ではない。その、婚約についてなのだが・・・・・・」

「婚約? 誰とですか?」

「もちろん、そなたと私のだ。聞いてないのか?」

「え・・・・・・ええええ?!」


< 23 / 70 >

この作品をシェア

pagetop