国外追放から帰ってきた伯爵令嬢は、スタンピードをやっつけて宮廷魔術師になりましたが、平凡な生活を目指していたので、32才年下の国王陛下に婚約を迫られて困っています!!~改稿版~
ユグドラ学園
次の日の朝早くに、メリーは私を連れて、ソレイユ村の端にある魔術養成学校『ユグドラ学園』に到着した。メリーは一礼すると、「シャルロットお嬢様、頑張ってください」と一言だけ言って、自分の家へ帰って行った。
(え? ここが───最果ての地?)
目の前には大きな学校が建っており、門の手前には大きな木が門の半分を隠すようにそびえ立っていた。そう言えば、メリーはこの木の事を『精霊樹』と呼んでいたっけ。
突っ立っていても仕方がないと思い、私は学園の中へ入ろうとした。けれど、10歩も歩かないうちに『見えない壁』に阻まれてしまう。
(ん・・・・・・何これ? 中に入れないの?)
立ち止まって学校を見上げていると、隣にある『精霊樹』が光り、空中に小さな光の粒が舞い始めた。
『見ない顔ね・・・・・・名前は?』
どこからともなく聞こえて来た声は、頭の中に響くように聞こえていた。
「シャルロット・・・・・・シャルロット・モルトローズよ」
『ああ・・・・・・入学希望の。私が出した手紙の返事は、まだ来てなかったハズだけど・・・・・・』
「いろいろと事情があって、返事を書く前に家を出なければならなかったのです・・・・・・あの、直接会って話を聞いてもらうことは出来ませんか?」
『分かったわ、結界を一時的に解除するから、入って来なさい』
声が途絶えると、光は消えて元の状態に戻っていた。その時になって唐突に思い出していた。前世の記憶・・・・・・自分が、日本という国で『山本いずみ』として生きていた記憶を。
「うっ・・・・・・」
急に思い出したせいか、頭痛がして目の前がグルグル回って見えていた。意識を保とうとして、朝だというのに周囲を暗くしている曇り空を、必死に見つめていた。
(何で、こんな時に思い出すのよ・・・・・・)
前世では、大手商社に勤めるOLだった私は、好きな漫画を読むことだけが生きがいだった。好きな漫画の発売日に本屋へ自転車で向かって、その途中でトラックに撥ねられてしまった・・・・・・そこからの記憶がないから、おそらくは『山本いずみ』としての人生は、そこまでだったのだろう。
私は学園の重い鉄扉を押すと、中へ入って校舎までの長い道のりを歩いていったのだった。
(え? ここが───最果ての地?)
目の前には大きな学校が建っており、門の手前には大きな木が門の半分を隠すようにそびえ立っていた。そう言えば、メリーはこの木の事を『精霊樹』と呼んでいたっけ。
突っ立っていても仕方がないと思い、私は学園の中へ入ろうとした。けれど、10歩も歩かないうちに『見えない壁』に阻まれてしまう。
(ん・・・・・・何これ? 中に入れないの?)
立ち止まって学校を見上げていると、隣にある『精霊樹』が光り、空中に小さな光の粒が舞い始めた。
『見ない顔ね・・・・・・名前は?』
どこからともなく聞こえて来た声は、頭の中に響くように聞こえていた。
「シャルロット・・・・・・シャルロット・モルトローズよ」
『ああ・・・・・・入学希望の。私が出した手紙の返事は、まだ来てなかったハズだけど・・・・・・』
「いろいろと事情があって、返事を書く前に家を出なければならなかったのです・・・・・・あの、直接会って話を聞いてもらうことは出来ませんか?」
『分かったわ、結界を一時的に解除するから、入って来なさい』
声が途絶えると、光は消えて元の状態に戻っていた。その時になって唐突に思い出していた。前世の記憶・・・・・・自分が、日本という国で『山本いずみ』として生きていた記憶を。
「うっ・・・・・・」
急に思い出したせいか、頭痛がして目の前がグルグル回って見えていた。意識を保とうとして、朝だというのに周囲を暗くしている曇り空を、必死に見つめていた。
(何で、こんな時に思い出すのよ・・・・・・)
前世では、大手商社に勤めるOLだった私は、好きな漫画を読むことだけが生きがいだった。好きな漫画の発売日に本屋へ自転車で向かって、その途中でトラックに撥ねられてしまった・・・・・・そこからの記憶がないから、おそらくは『山本いずみ』としての人生は、そこまでだったのだろう。
私は学園の重い鉄扉を押すと、中へ入って校舎までの長い道のりを歩いていったのだった。