国外追放から帰ってきた伯爵令嬢は、スタンピードをやっつけて宮廷魔術師になりましたが、平凡な生活を目指していたので、32才年下の国王陛下に婚約を迫られて困っています!!~改訂版~

解呪法を探して

「陛下に恨みを持つ者の犯行でしょうか? 陛下、お心当たりは?」

「政敵なら大勢いるが、魔術師となると話は別だ。私は宮廷魔術師しか知らないし、呪いを掛けられるような恨みを買った覚えもない」

「それならどうして・・・・・・」

「私も、その点がずっと引っかかっているんだ。辞めてしまった魔術師団長も城内の犯行ということから、少なからず部下を疑っていたようだ。城には防御結界も張ってあるからな」

「まさか、それが原因で辞職を?」

「いや、いろいろあってな・・・・・・それだけじゃないんだ。彼には別の部署で働いてもらっている」

「私・・・・・・東の魔術師に会いに行きます」

「正気か? 東の地域にある森の奥深くに住んでいる魔術師だよな? きのう言ってた、近づくと青い霧が現れて、霧に触れたものは全て呪い殺されるという・・・・・・行って違ったりしたら、殺されるだけかもしれないぞ?」

「分かってます。しかし、宮廷魔術師が調べて分からなかったのであれば、そうした方が良いでしょう。上手くいけば、解呪方法が分かるかもしれませんし・・・・・・」

「確かに呪いを確実に解くのであれば、可能性は潰していった方がいい。しかしだな・・・・・・」

「気が進みませんか? 暴虐の魔術師ですよ? もとより殺されるつもりはありません」

「分かった・・・・・・その件は、シャルロットに任せよう。明日からは、私の専属魔術師として働いてくれ」

「承知いたしました。陛下その・・・・・・」

「なんだ?」

「城には寮があると伺いました。その・・・・・・部屋をお借りすることは、出来ないでしょうか?」

 『この屋敷に、ずっといてもいい』と、現当主であるモルトローズ侯爵から言われていたが、あまり気は進まなかった。城で暮らした方が、いくらか過ごしやすそうだ。

「シャルロットの任務内容は護衛も兼ねているからな・・・・・・執務室の隣に部屋は用意してある」

「えっ?! 隣ですか??」

「なんだ不服か? 近い方が便利だろう?」

 私は、この人の概念に『プライバシー』という言葉はないのだろうかと思った。本人には無いのだろうが、部下のプライバシーは守って欲しい。

「分かりました。覗き見とか、絶対にしないでくださいよ!!」

「ふっ・・・・・・するわけないだろう?」

「あっ、今、鼻で笑いましたね?! 私だって、そのうち成長するんですからね!!」

「そうであろうな」

 陛下は笑いながら少しだけ悲しい目をしていた。『この人の呪いは絶対に解いてあげよう』・・・・・・何となく、そう思ったのだった。


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