国外追放から帰ってきた伯爵令嬢は、スタンピードをやっつけて宮廷魔術師になりましたが、平凡な生活を目指していたので、32才年下の国王陛下に婚約を迫られて困っています!!~改訂版~
月光
「月の光を浴びると、たまに大人の姿になるときがあるんだ。大人になったと思った瞬間、もとの姿に戻ってる」
陛下がそう言うと、彼の身体は徐々に大きくなり始めて、成人男性の姿になった。身体が大きくなってしまった為、衣服のほとんどが破れて周りに散らばってしまっている。
「なっ・・・・・・」
陛下は年頃の青年になっていた。でも、それは一瞬で、もとの体格へもどっていく。横目で成人男性の裸体を見てしまった私は、動揺していた。この世界で、こういった魔術が使われることは、よくある事なのかもしれないが、何だか落ち着かなかった。
「なんだ? 男の身体を見るのは初めてか?」
私は驚いてしまい、心臓がバクバクいうのを何とか堪えながら、陛下へ言い返した。
「当たり前です!! びっくりしたんですから!!」
私は陛下の手を退けると、自分のローブを陛下に掛けてあげた。このまま放って置くわけにもいかない。
「私はいい・・・・・・レディを夜着で、その辺を歩かせる訳にはいかない」
「陛下を裸で歩かせる方が問題です」
陛下は私の夜着を見ると、顔を手に当てていた。
「その夜着、少し透けてるぞ」
「きゃっ!! 変態!!」
前を隠すようにしていると、陛下は下を向きながら、ローブを私に押しつけていた。
「変態で悪かったな・・・・・・アンドレ!! 来てくれ」
私がローブを受け取って着ていると、アンドレがこちらへ駆けてきて、子供の姿に戻った陛下に新しい洋服を渡していた。
「陛下、何イチャイチャしてるんですか」
「なっ・・・・・・イチャイチャなど、しておらん!!」
「ハイハイ・・・・・・では、戻りましょうか」
「あの、陛下。今の現象は良く起こるのですか?」
「一週間前から、時々かな。しかも月の光に当たるときだけだ」
「そうですか・・・・・・陛下、やっぱり私に東の魔術師に会いに行く許可をください」
「急に、どうしたんだ?」
「魔術師の力が弱まっている可能性があります。もしくは、術の制限があったのかもしれません。魔術師に会えれば、何か聞き出せるかもしれませんし、教えてもらえなくても、ヒントを得られるかもしれません」
私は青い霧の先に、この問題を解決する糸口がある様な気がしていた。学園の授業では薬草学は基本的なことしか学んでいなかったし、薬は分量を間違えれば毒にもなってしまうため、薬草を使った解呪法は半ば諦めていた。
私は、戦闘に特化した授業を中心に受けていたことを少し後悔したが、あの時の私は、この世界で生き残れることしか考えていなかった。
「そうか・・・・・・それなら従者を連れて行け」
「いりません・・・・・・陛下、青い霧には毒素が含まれているのですよ? 私だけならまだしも、誰かを連れて行くことは出来ません」
「駄目だ。死にたいのか?」
「陛下を助けたいのです」
「それなら、私と婚約しろ」
「えっ・・・・・・何でですか? 訳が分かりません」
「必ず戻ってこいと言っている。無事に戻って来れたら婚約破棄してやろう」
私がアンドレを見上げると、彼は困ったように片眉を上げていた。元社畜の私は、元上司の理不尽なパワハラやセクハラまがいな事に慣れていたせいか、怒る気にもなれなかった。
「アンドレ様もお聞きになりましたよね? 戻ってきたら、婚約破棄ですからね」
「ええ、聞いておりました」
執務室へ戻ると、陛下は最後の一文を訂正して婚約を含めた契約書に書き直していた。私は新しく作成された契約書に目を通し、魔術契約書にサインをした。陛下が嬉しそうな顔をしているのに疑問を抱きながらも、私は部屋へ戻って出掛ける準備を始めたのだった。
陛下がそう言うと、彼の身体は徐々に大きくなり始めて、成人男性の姿になった。身体が大きくなってしまった為、衣服のほとんどが破れて周りに散らばってしまっている。
「なっ・・・・・・」
陛下は年頃の青年になっていた。でも、それは一瞬で、もとの体格へもどっていく。横目で成人男性の裸体を見てしまった私は、動揺していた。この世界で、こういった魔術が使われることは、よくある事なのかもしれないが、何だか落ち着かなかった。
「なんだ? 男の身体を見るのは初めてか?」
私は驚いてしまい、心臓がバクバクいうのを何とか堪えながら、陛下へ言い返した。
「当たり前です!! びっくりしたんですから!!」
私は陛下の手を退けると、自分のローブを陛下に掛けてあげた。このまま放って置くわけにもいかない。
「私はいい・・・・・・レディを夜着で、その辺を歩かせる訳にはいかない」
「陛下を裸で歩かせる方が問題です」
陛下は私の夜着を見ると、顔を手に当てていた。
「その夜着、少し透けてるぞ」
「きゃっ!! 変態!!」
前を隠すようにしていると、陛下は下を向きながら、ローブを私に押しつけていた。
「変態で悪かったな・・・・・・アンドレ!! 来てくれ」
私がローブを受け取って着ていると、アンドレがこちらへ駆けてきて、子供の姿に戻った陛下に新しい洋服を渡していた。
「陛下、何イチャイチャしてるんですか」
「なっ・・・・・・イチャイチャなど、しておらん!!」
「ハイハイ・・・・・・では、戻りましょうか」
「あの、陛下。今の現象は良く起こるのですか?」
「一週間前から、時々かな。しかも月の光に当たるときだけだ」
「そうですか・・・・・・陛下、やっぱり私に東の魔術師に会いに行く許可をください」
「急に、どうしたんだ?」
「魔術師の力が弱まっている可能性があります。もしくは、術の制限があったのかもしれません。魔術師に会えれば、何か聞き出せるかもしれませんし、教えてもらえなくても、ヒントを得られるかもしれません」
私は青い霧の先に、この問題を解決する糸口がある様な気がしていた。学園の授業では薬草学は基本的なことしか学んでいなかったし、薬は分量を間違えれば毒にもなってしまうため、薬草を使った解呪法は半ば諦めていた。
私は、戦闘に特化した授業を中心に受けていたことを少し後悔したが、あの時の私は、この世界で生き残れることしか考えていなかった。
「そうか・・・・・・それなら従者を連れて行け」
「いりません・・・・・・陛下、青い霧には毒素が含まれているのですよ? 私だけならまだしも、誰かを連れて行くことは出来ません」
「駄目だ。死にたいのか?」
「陛下を助けたいのです」
「それなら、私と婚約しろ」
「えっ・・・・・・何でですか? 訳が分かりません」
「必ず戻ってこいと言っている。無事に戻って来れたら婚約破棄してやろう」
私がアンドレを見上げると、彼は困ったように片眉を上げていた。元社畜の私は、元上司の理不尽なパワハラやセクハラまがいな事に慣れていたせいか、怒る気にもなれなかった。
「アンドレ様もお聞きになりましたよね? 戻ってきたら、婚約破棄ですからね」
「ええ、聞いておりました」
執務室へ戻ると、陛下は最後の一文を訂正して婚約を含めた契約書に書き直していた。私は新しく作成された契約書に目を通し、魔術契約書にサインをした。陛下が嬉しそうな顔をしているのに疑問を抱きながらも、私は部屋へ戻って出掛ける準備を始めたのだった。