国外追放から帰ってきた伯爵令嬢は、スタンピードをやっつけて宮廷魔術師になりましたが、平凡な生活を目指していたので、32才年下の国王陛下に婚約を迫られて困っています!!~改訂版~
解呪薬以外の解呪法
気がつくと、私は王都の裏路地へ立っていた。城へ戻ろうと思って、裏道を歩いていると、目の前にある建物からローブを着た少年が出てきた・・・・・・陛下によく似ている。
「・・・・・・陛下?」
「おまっ・・・・・・何でここに?」
思わず声を掛けてしまったが、その少年は陛下本人だった。慌てている様子に違和感を覚えながらも、私は陛下に近づいた。
「陛下こそ、朝から何コソコソやってるんですか? 娼館ですよね、ここ」
「こんなところで、陛下って呼ぶな!!」
「では、なんとお呼びすれば?」
「私の事は『ジーク』と呼んでくれ」
「ジーク様?」
「何だ?」
「娼館で何をしていたのですか?」
「城に勤めている者が、娼館で不自然な亡くなり方をしてな。調べていたんだ」
「こんな時間に?」
「こんな時間じゃなきゃ、聞けない」
(もしかして、本当は気になる子に会いに来てたりして?!)
「分かりました。このことは他言無用ですね」
私が感情を抑えながら言うと、何故か陛下は焦っていた。
「いや、だから、こんな姿なんだから誰も相手なんか、しないだろう?」
「ジーク様。お言葉ですが、世の中には・・・・・・いろんな人がいるんですよ」
「そうだな・・・・・・って、違う!! そうじゃない!! 私は心の通った・・・・・・普通の付き合いをしたいと思っている」
「そうですよね。言い過ぎでした。すみません」
「いや、いい。それより、こんなところに居たら危険だ。この先にアンドレが待っている。急いで合流しよう」
陛下は私の手を掴むと、裏路地を走って行った。陛下に連れられて走っていたが、私には魔術があるのだ。『暴虐の魔女』と呼ばれるだけの魔術が───女性扱いされていることにむず痒さを感じながらも、アンドレと合流すると、一緒に城へ戻ったのだった。
*****
城へ戻ると、陛下は婚約破棄についての誓約書を書いてくれた。短期間での婚約破棄について不思議に思いながらも、話は森に住む東の魔術師へと移っていた。
「それで? 東の魔術師には会えたのか?」
「はい・・・・・・魔術学園の先生でした」
「はぁ?」
「いや、だから先生・・・・・・師匠です」
「意味は分かる・・・・・・シャルロット、お前が私に呪いを掛けるよう、先生に頼んだのか?」
「まさか?! それなら、わざわざ会いに行く必要もありません。先生は、私の話の内容を少し誤解していて、陛下に呪いを掛けたようです。月の光を浴びることによって、身体が元の姿に戻るのは、月の光苔に解呪薬の成分が含まれていて、解呪薬を飲んだ状態に近づくから・・・・・・だそうです」
ガルシア先生は私の話について、1ミリも誤解していなかったと思うが、生徒の事を思って復讐したのであれば、やり過ぎという気もしていた。そのことを上手く説明できずに、私は曖昧に微笑んだ。
「それで、解呪薬の作り方は・・・・・・」
「今は材料自体が無いらしく、作れないらしいんです」
「はぁ??」
「でも、解呪する方法は他にもあるそうで・・・・・・」
「どんな方法なんだ?」
「それが・・・・・・・・・・・・」
「もう、これ以上、何があっても驚かない・・・・・・正直に言ってくれ」
「その、本当に好きな相手・・・・・・真実の愛が見つかれば、呪いは解けるそうです」
「何なんだ、その呪いは?」
陛下は驚きを通り越して呆れたのか、天を仰いでいた。
「・・・・・・陛下?」
「おまっ・・・・・・何でここに?」
思わず声を掛けてしまったが、その少年は陛下本人だった。慌てている様子に違和感を覚えながらも、私は陛下に近づいた。
「陛下こそ、朝から何コソコソやってるんですか? 娼館ですよね、ここ」
「こんなところで、陛下って呼ぶな!!」
「では、なんとお呼びすれば?」
「私の事は『ジーク』と呼んでくれ」
「ジーク様?」
「何だ?」
「娼館で何をしていたのですか?」
「城に勤めている者が、娼館で不自然な亡くなり方をしてな。調べていたんだ」
「こんな時間に?」
「こんな時間じゃなきゃ、聞けない」
(もしかして、本当は気になる子に会いに来てたりして?!)
「分かりました。このことは他言無用ですね」
私が感情を抑えながら言うと、何故か陛下は焦っていた。
「いや、だから、こんな姿なんだから誰も相手なんか、しないだろう?」
「ジーク様。お言葉ですが、世の中には・・・・・・いろんな人がいるんですよ」
「そうだな・・・・・・って、違う!! そうじゃない!! 私は心の通った・・・・・・普通の付き合いをしたいと思っている」
「そうですよね。言い過ぎでした。すみません」
「いや、いい。それより、こんなところに居たら危険だ。この先にアンドレが待っている。急いで合流しよう」
陛下は私の手を掴むと、裏路地を走って行った。陛下に連れられて走っていたが、私には魔術があるのだ。『暴虐の魔女』と呼ばれるだけの魔術が───女性扱いされていることにむず痒さを感じながらも、アンドレと合流すると、一緒に城へ戻ったのだった。
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城へ戻ると、陛下は婚約破棄についての誓約書を書いてくれた。短期間での婚約破棄について不思議に思いながらも、話は森に住む東の魔術師へと移っていた。
「それで? 東の魔術師には会えたのか?」
「はい・・・・・・魔術学園の先生でした」
「はぁ?」
「いや、だから先生・・・・・・師匠です」
「意味は分かる・・・・・・シャルロット、お前が私に呪いを掛けるよう、先生に頼んだのか?」
「まさか?! それなら、わざわざ会いに行く必要もありません。先生は、私の話の内容を少し誤解していて、陛下に呪いを掛けたようです。月の光を浴びることによって、身体が元の姿に戻るのは、月の光苔に解呪薬の成分が含まれていて、解呪薬を飲んだ状態に近づくから・・・・・・だそうです」
ガルシア先生は私の話について、1ミリも誤解していなかったと思うが、生徒の事を思って復讐したのであれば、やり過ぎという気もしていた。そのことを上手く説明できずに、私は曖昧に微笑んだ。
「それで、解呪薬の作り方は・・・・・・」
「今は材料自体が無いらしく、作れないらしいんです」
「はぁ??」
「でも、解呪する方法は他にもあるそうで・・・・・・」
「どんな方法なんだ?」
「それが・・・・・・・・・・・・」
「もう、これ以上、何があっても驚かない・・・・・・正直に言ってくれ」
「その、本当に好きな相手・・・・・・真実の愛が見つかれば、呪いは解けるそうです」
「何なんだ、その呪いは?」
陛下は驚きを通り越して呆れたのか、天を仰いでいた。