国外追放から帰ってきた伯爵令嬢は、スタンピードをやっつけて宮廷魔術師になりましたが、平凡な生活を目指していたので、32才年下の国王陛下に婚約を迫られて困っています!!~改稿版~
社交パーティー
「ごきげんよう、陛下」
「ごきげんよう、陛下」
「ごきげんよう、陛下」
以下、47名。挨拶を済ませると、陛下は「仕事がある」と言って帰っていった。本当に顔を出しただけである。私が会わせたかった王都に住む令嬢50名に、どう対応すべきか悩み、困り果てていた。まずは、陛下の良さをさりげなくアピールするか・・・・・・いや、逆に仲の良さをアピールしていると思われても困るな。
今回は着席スタイルのパーティーにしたため、私の座る席からは令嬢たちが見渡せた。私が考えに耽っていると、隣にいた令嬢が話を切り出した。
「あのっ、私、クレアトール伯爵家のマリアンヌと申します。この度は、ご招待いただき誠にありがとうございます。その、ぶしつけで失礼ですが、シャルロット様は噂に聞くより随分と可愛らしく・・・・・・いえ、お綺麗で驚いてしまいました。陛下とは、どのような経緯でご婚約を?」
私は陛下から聞いていた話をそのまま話した。父の意向で婚約になったため、本意ではなかったこと。宮廷魔術師として護衛をすることになったこと等を説明した。
「まあ、では・・・・・・出会ってから、お二人は恋に落ちたのですね」
(いや、待って欲しい。どこをどうしたら、そんな話になるのか・・・・・・)
「いえ、政略結婚みたいなものです。ですので、陛下は今後、気が変わるかもしれません」
「まあ、そんな・・・・・・」
「そんなことはありませんわ」
「陛下は真面目な方なので、大丈夫ですわ」
令嬢方は、私を慰めるように声を掛けてくれた。いや、そうではないのだ。陛下の良いところをアピールしなくては。
「陛下は素晴らしい方なのですが、恋愛には興味が無いらしいのです。子供っぽいところもありますが、真面目で一途な性格だと思うのです」
私が一息にそう言うと、令嬢たちは何故か一瞬にして固まっていた。
「まあまあ、陛下は恋に不器用なのね・・・・・・」
「シャルロット様には、子供っぽく甘えることもあるんですね」
「陛下は朴念仁?」
最後の一言は、よく分からなかったが、私が無害そうな人物だと悟ったのか、令嬢たちの私に対する『がんばれエール』は、時間を追うごとに激しさを増していった。
見た目が14才の16才と、見た目が12才の20才は微笑ましい恋人同士にでも見えるのだろうか・・・・・・私は年頃のお姉さまたちに挟まれて、きわどい質問も受けていた。
「陛下の裸をご覧になったことは?」
私は先日の1件を思い出し、赤面してしまっていた。あれは不可効力である。見たくて見た訳ではない。
「あらあら、まあまあ・・・・・・」
幼い子供を見るような視線に、私はいたたまれなくなっていた。顔に熱が集まるのを感じて、俯いてしまう。
「お嬢様方、そろそろお開きのお時間です」
「あら、まあ大変!! もう、こんな時間だわ」
侯爵邸からヘルプで来ていたセバスが見かねたのか、令嬢たちに帰るよう促してくれていた。私を見て頷いている。
「本日はお招きいただき、ありがとうございました」
「皆さん、今日は来てくださって、ありがとうございます。今後とも、陛下をよろしくお願い致します」
「ありがとうございます」
「楽しかったわ」
「また呼んでくださいね」
令嬢たちは楽しかったのか、お礼を言いながら帰って行った。見送りから城の中へ戻る途中、セバスがこっそりと私に耳打ちした。
「今日お招きした令嬢たちには、既に婚約者の方がいらっしゃいます。おそらくは王妃派の派閥に与したい者たちの集まりかと」
私が驚いていると、セバスは流し目でこちらを見ながらウインクをしていた。
(やられた・・・・・・アンドレに謀られたのね)
今日の招待客リストは、アンドレが薦めてくれた人を中心に作っていたのだ。私に友好的な人物が多かったのも、そのせいなのだろう。
(これからどうするべきか、考える必要がありそうね)
「ごきげんよう、陛下」
「ごきげんよう、陛下」
以下、47名。挨拶を済ませると、陛下は「仕事がある」と言って帰っていった。本当に顔を出しただけである。私が会わせたかった王都に住む令嬢50名に、どう対応すべきか悩み、困り果てていた。まずは、陛下の良さをさりげなくアピールするか・・・・・・いや、逆に仲の良さをアピールしていると思われても困るな。
今回は着席スタイルのパーティーにしたため、私の座る席からは令嬢たちが見渡せた。私が考えに耽っていると、隣にいた令嬢が話を切り出した。
「あのっ、私、クレアトール伯爵家のマリアンヌと申します。この度は、ご招待いただき誠にありがとうございます。その、ぶしつけで失礼ですが、シャルロット様は噂に聞くより随分と可愛らしく・・・・・・いえ、お綺麗で驚いてしまいました。陛下とは、どのような経緯でご婚約を?」
私は陛下から聞いていた話をそのまま話した。父の意向で婚約になったため、本意ではなかったこと。宮廷魔術師として護衛をすることになったこと等を説明した。
「まあ、では・・・・・・出会ってから、お二人は恋に落ちたのですね」
(いや、待って欲しい。どこをどうしたら、そんな話になるのか・・・・・・)
「いえ、政略結婚みたいなものです。ですので、陛下は今後、気が変わるかもしれません」
「まあ、そんな・・・・・・」
「そんなことはありませんわ」
「陛下は真面目な方なので、大丈夫ですわ」
令嬢方は、私を慰めるように声を掛けてくれた。いや、そうではないのだ。陛下の良いところをアピールしなくては。
「陛下は素晴らしい方なのですが、恋愛には興味が無いらしいのです。子供っぽいところもありますが、真面目で一途な性格だと思うのです」
私が一息にそう言うと、令嬢たちは何故か一瞬にして固まっていた。
「まあまあ、陛下は恋に不器用なのね・・・・・・」
「シャルロット様には、子供っぽく甘えることもあるんですね」
「陛下は朴念仁?」
最後の一言は、よく分からなかったが、私が無害そうな人物だと悟ったのか、令嬢たちの私に対する『がんばれエール』は、時間を追うごとに激しさを増していった。
見た目が14才の16才と、見た目が12才の20才は微笑ましい恋人同士にでも見えるのだろうか・・・・・・私は年頃のお姉さまたちに挟まれて、きわどい質問も受けていた。
「陛下の裸をご覧になったことは?」
私は先日の1件を思い出し、赤面してしまっていた。あれは不可効力である。見たくて見た訳ではない。
「あらあら、まあまあ・・・・・・」
幼い子供を見るような視線に、私はいたたまれなくなっていた。顔に熱が集まるのを感じて、俯いてしまう。
「お嬢様方、そろそろお開きのお時間です」
「あら、まあ大変!! もう、こんな時間だわ」
侯爵邸からヘルプで来ていたセバスが見かねたのか、令嬢たちに帰るよう促してくれていた。私を見て頷いている。
「本日はお招きいただき、ありがとうございました」
「皆さん、今日は来てくださって、ありがとうございます。今後とも、陛下をよろしくお願い致します」
「ありがとうございます」
「楽しかったわ」
「また呼んでくださいね」
令嬢たちは楽しかったのか、お礼を言いながら帰って行った。見送りから城の中へ戻る途中、セバスがこっそりと私に耳打ちした。
「今日お招きした令嬢たちには、既に婚約者の方がいらっしゃいます。おそらくは王妃派の派閥に与したい者たちの集まりかと」
私が驚いていると、セバスは流し目でこちらを見ながらウインクをしていた。
(やられた・・・・・・アンドレに謀られたのね)
今日の招待客リストは、アンドレが薦めてくれた人を中心に作っていたのだ。私に友好的な人物が多かったのも、そのせいなのだろう。
(これからどうするべきか、考える必要がありそうね)