国外追放から帰ってきた伯爵令嬢は、スタンピードをやっつけて宮廷魔術師になりましたが、平凡な生活を目指していたので、32才年下の国王陛下に婚約を迫られて困っています!!~改訂版~
解毒薬の開発
社交パーティーから1ケ月が経ったある日、陛下の解呪法に手詰まりを感じていた私は、休暇をもらって侯爵邸へ来ていた。弟であるモルトローズ侯爵は不在だったが、代わりにセバスが相談に乗ってくれた。
「セバス・・・・・・私は、これからどうすればいいのかしら?」
「お嬢様のお思いになった通りに、なさればいいと思います」
「それが・・・・・・どうすればいいのか、分からないのよ」
何もかもから逃げ出したかった。陛下の「とりあえず、私の婚約者でいてくれ」というのは嫌だったし、『暴虐の魔女』と思われながら宮廷魔術師の仕事をするのも嫌だった。いや、私の我儘なのかもしれないが・・・・・・。
「お嬢様、ご存じかも知れませんが侯爵邸の地下には書庫がございます。静かで落ち着きますし、考え事をするには、いいかもしれませんよ」
「ありがとう、セバス。そうするわ」
私はセバスから鍵を受け取ると、地下にある書庫へ向かった。少しカビ臭い部屋だったが、物音がしない静けさがあった。
(私がいた時よりも、魔術書が増えてるわ。学園へ通っている間、こうなることを予想して両親は魔術書を集めてくれていた? まさかね)
私は百冊を軽く超える魔術書が収納されている本棚から、薬草と魔術薬の本を取り出し、1ページ1ページ捲っていった。近くにあった机へ腰掛けると、ローブの内ポケットへ入れていた用紙に解毒薬の材料になりそうな薬草と、術式を書き出していく。
あっという間に時間は過ぎていった。部屋から出た時には、西日が差していた。私はセバスに挨拶をしてから、城へ戻ったのだった。
*****
アンドレやアンドレに紹介してもらった薬草に詳しい宮廷魔術師と相談しながら、私は解毒薬を作っていた。もちろん陛下の呪いを解くための薬である。材料が無ければ作れないと言われている呪いの魔術の、解毒薬を作るのは簡単なことでは無かった。
私は魔術書を読みながら研究し続けるうちに研究にハマっていき、気がつけば睡眠時間を削ってまで研究に没頭していた。陛下の護衛もあるため、研究を続けるためには、睡眠時間を削るより他なかった。
「シャルロット、最近ひどいクマだな。私のクマを超えてるぞ」
執務室で陛下の護衛をしている途中に言われた私は、陛下の目の下にあるクマを見て、それから近くに置いてあった鏡で自分のクマを見ていた。
「ほんとうだ・・・・・・いい勝負ですね」
「勝負はしなくていい。最近、仕事が終わってから魔術薬を研究棟で作っているという噂を聞いている。もしかして、もしかしなくても・・・・・・私のためか?」
「え? まあ、はい」
「そんなになるまで、私に尽くしてくれなくてもいいんだぞ」
(私は陛下の呪いを解いて、早くソレイユ村に帰りたいだけなんだけどな・・・・・・)
最近になって、私はガルシア先生の弟子になるのもいいなと思い始めていた。ソレイユ村に住んで、魔術学園の先生になる・・・・・・それが私の生きる道ではないかと、本気で思い始めていた。
「陛下、薬が完成して、被験が済んだら飲んで欲しい薬があります。試していただけますか?」
「他ならぬ、可愛い婚約者シャルロットの頼みだ。飲んでみよう」
マウス実験は済んでいた。人体への影響がないのは確認済みだ。ただ、魔術が掛かった状態で摂取したわけではないので、実際に効くかどうかは怪しかった。
「セバス・・・・・・私は、これからどうすればいいのかしら?」
「お嬢様のお思いになった通りに、なさればいいと思います」
「それが・・・・・・どうすればいいのか、分からないのよ」
何もかもから逃げ出したかった。陛下の「とりあえず、私の婚約者でいてくれ」というのは嫌だったし、『暴虐の魔女』と思われながら宮廷魔術師の仕事をするのも嫌だった。いや、私の我儘なのかもしれないが・・・・・・。
「お嬢様、ご存じかも知れませんが侯爵邸の地下には書庫がございます。静かで落ち着きますし、考え事をするには、いいかもしれませんよ」
「ありがとう、セバス。そうするわ」
私はセバスから鍵を受け取ると、地下にある書庫へ向かった。少しカビ臭い部屋だったが、物音がしない静けさがあった。
(私がいた時よりも、魔術書が増えてるわ。学園へ通っている間、こうなることを予想して両親は魔術書を集めてくれていた? まさかね)
私は百冊を軽く超える魔術書が収納されている本棚から、薬草と魔術薬の本を取り出し、1ページ1ページ捲っていった。近くにあった机へ腰掛けると、ローブの内ポケットへ入れていた用紙に解毒薬の材料になりそうな薬草と、術式を書き出していく。
あっという間に時間は過ぎていった。部屋から出た時には、西日が差していた。私はセバスに挨拶をしてから、城へ戻ったのだった。
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アンドレやアンドレに紹介してもらった薬草に詳しい宮廷魔術師と相談しながら、私は解毒薬を作っていた。もちろん陛下の呪いを解くための薬である。材料が無ければ作れないと言われている呪いの魔術の、解毒薬を作るのは簡単なことでは無かった。
私は魔術書を読みながら研究し続けるうちに研究にハマっていき、気がつけば睡眠時間を削ってまで研究に没頭していた。陛下の護衛もあるため、研究を続けるためには、睡眠時間を削るより他なかった。
「シャルロット、最近ひどいクマだな。私のクマを超えてるぞ」
執務室で陛下の護衛をしている途中に言われた私は、陛下の目の下にあるクマを見て、それから近くに置いてあった鏡で自分のクマを見ていた。
「ほんとうだ・・・・・・いい勝負ですね」
「勝負はしなくていい。最近、仕事が終わってから魔術薬を研究棟で作っているという噂を聞いている。もしかして、もしかしなくても・・・・・・私のためか?」
「え? まあ、はい」
「そんなになるまで、私に尽くしてくれなくてもいいんだぞ」
(私は陛下の呪いを解いて、早くソレイユ村に帰りたいだけなんだけどな・・・・・・)
最近になって、私はガルシア先生の弟子になるのもいいなと思い始めていた。ソレイユ村に住んで、魔術学園の先生になる・・・・・・それが私の生きる道ではないかと、本気で思い始めていた。
「陛下、薬が完成して、被験が済んだら飲んで欲しい薬があります。試していただけますか?」
「他ならぬ、可愛い婚約者シャルロットの頼みだ。飲んでみよう」
マウス実験は済んでいた。人体への影響がないのは確認済みだ。ただ、魔術が掛かった状態で摂取したわけではないので、実際に効くかどうかは怪しかった。