国外追放から帰ってきた伯爵令嬢は、スタンピードをやっつけて宮廷魔術師になりましたが、平凡な生活を目指していたので、32才年下の国王陛下に婚約を迫られて困っています!!~改訂版~
対抗術
「学園長!!・・・・・・で合ってますか?」
「シャルロットさん、このような格好でお話を・・・・・・すみません」
学園長はベビーベッドの上に横たわっていた。見た目は赤ちゃんなのに、話している内容は大人びていて、いつもと変わらない様子に違和感を覚えながらも、私は話を続けた。
私とガルシア先生は、次元の歪みの状況とフォース国兵士の様子、それから生徒達を寮へ避難させたことを学園長に報告した。
「ありがとうございます。お二人には、感謝してもしきれません。このような状況で、お二人に頼み事をするのは気が引けるのですが、話を聞いていただけますか?」
「もちろんです」
「そのために来ましたから」
「分かりました。お二人の話から察するに、次元の歪みは『歌』によって閉じることが出来ると思います。精霊達の歌の方が、結界を閉じるには、より効果的でしょう・・・・・・ですが、妖精王が眠りについている今、私の要請に応じて歌ってくれる精霊達は、数が限られています」
「・・・・・・」
「ですので、シャルロットさんが、以前に授業で使用していた『スピーカー』を使いたいと思います」
「ああ・・・・・・アレですか?」
確かにスピーカーもどきは、学園の授業ので制作した。授業の様子を見に来ていた学園長が気に入ってしまい、売ってくれと言われたので、タダであげたハズだったが・・・・・・。
「学園長、あの魔術具を使用するには、光魔術が得意な人が必要です。正直言って、私では力不足かと・・・・・・」
魔術具『スピーカー』は、作り始めは『風魔法』を使用して使える仕組みになっていた。それが、結局のところ魔術具を使っても音量が2倍にしかならなかったので、大声で話すのと大して変わらなかったのである。それが、ガルシア先生の助言で『光魔法』で使用できる様に変更したら、ちゃんとしたスピーカーになったのだ。音量の調節も出来るようになったが、光魔法を得意としない私には、無用の長物だった。
「光魔法なら、使えるぞ」
後ろの壁に寄りかかりながら、こちらの様子を見ていた陛下は1歩前へ出ると、学園長に挨拶をしていた。
「我が婚約者を危険に晒すわけにはいかない。その役目、どうか私にお任せいただけないだろうか?」
「いいでしょう。精霊達には、私から話をつけます。『100』ぐらいしか集まらないでしょうが、スピーカーを使って次元の歪みを塞ぐのには、問題ないかと思われます」
「ありがとうございます。謹んでお受けいたします」
「ちょっ、学園長!! 陛下!! 勝手に話を進めないで・・・・・・ふごっ」
私が口を挟もうとすると、ガルシア先生が後ろから私の口を塞ぐように口元へ手を当てていた。
「シャルロット、陛下にも活躍の場を与えてあげなきゃ」
「いや、活躍も何も陛下の御身に何かあったら・・・・・・私は護衛ですし」
「ほんとに、そう思ってる? 理由はそれだけ?」
「・・・・・・はい」
「間があったねぇ」
「だから、そんな関係じゃないんですってば!! ドライな関係なんです!!」
「あーはい、はい」
ガルシア先生の『分かってます』みたいな含み笑いに少し腹が立ったが、しばらくして紅茶が運ばれてくると、私は気を取り直して次元の歪みを塞ぐ作戦会議に参加したのだった。
「シャルロットさん、このような格好でお話を・・・・・・すみません」
学園長はベビーベッドの上に横たわっていた。見た目は赤ちゃんなのに、話している内容は大人びていて、いつもと変わらない様子に違和感を覚えながらも、私は話を続けた。
私とガルシア先生は、次元の歪みの状況とフォース国兵士の様子、それから生徒達を寮へ避難させたことを学園長に報告した。
「ありがとうございます。お二人には、感謝してもしきれません。このような状況で、お二人に頼み事をするのは気が引けるのですが、話を聞いていただけますか?」
「もちろんです」
「そのために来ましたから」
「分かりました。お二人の話から察するに、次元の歪みは『歌』によって閉じることが出来ると思います。精霊達の歌の方が、結界を閉じるには、より効果的でしょう・・・・・・ですが、妖精王が眠りについている今、私の要請に応じて歌ってくれる精霊達は、数が限られています」
「・・・・・・」
「ですので、シャルロットさんが、以前に授業で使用していた『スピーカー』を使いたいと思います」
「ああ・・・・・・アレですか?」
確かにスピーカーもどきは、学園の授業ので制作した。授業の様子を見に来ていた学園長が気に入ってしまい、売ってくれと言われたので、タダであげたハズだったが・・・・・・。
「学園長、あの魔術具を使用するには、光魔術が得意な人が必要です。正直言って、私では力不足かと・・・・・・」
魔術具『スピーカー』は、作り始めは『風魔法』を使用して使える仕組みになっていた。それが、結局のところ魔術具を使っても音量が2倍にしかならなかったので、大声で話すのと大して変わらなかったのである。それが、ガルシア先生の助言で『光魔法』で使用できる様に変更したら、ちゃんとしたスピーカーになったのだ。音量の調節も出来るようになったが、光魔法を得意としない私には、無用の長物だった。
「光魔法なら、使えるぞ」
後ろの壁に寄りかかりながら、こちらの様子を見ていた陛下は1歩前へ出ると、学園長に挨拶をしていた。
「我が婚約者を危険に晒すわけにはいかない。その役目、どうか私にお任せいただけないだろうか?」
「いいでしょう。精霊達には、私から話をつけます。『100』ぐらいしか集まらないでしょうが、スピーカーを使って次元の歪みを塞ぐのには、問題ないかと思われます」
「ありがとうございます。謹んでお受けいたします」
「ちょっ、学園長!! 陛下!! 勝手に話を進めないで・・・・・・ふごっ」
私が口を挟もうとすると、ガルシア先生が後ろから私の口を塞ぐように口元へ手を当てていた。
「シャルロット、陛下にも活躍の場を与えてあげなきゃ」
「いや、活躍も何も陛下の御身に何かあったら・・・・・・私は護衛ですし」
「ほんとに、そう思ってる? 理由はそれだけ?」
「・・・・・・はい」
「間があったねぇ」
「だから、そんな関係じゃないんですってば!! ドライな関係なんです!!」
「あーはい、はい」
ガルシア先生の『分かってます』みたいな含み笑いに少し腹が立ったが、しばらくして紅茶が運ばれてくると、私は気を取り直して次元の歪みを塞ぐ作戦会議に参加したのだった。