国外追放から帰ってきた伯爵令嬢は、スタンピードをやっつけて宮廷魔術師になりましたが、平凡な生活を目指していたので、32才年下の国王陛下に婚約を迫られて困っています!!~改稿版~

白い結婚?

「シャルロットは・・・・・・女性は、見た目が美しい男性で大人の男がいいんだよな。なんたって、人は見た目が9割なんて言われているくらいだし」

「陛下、何を仰っているのです?」

「平凡な奴より、カッコイイ方が良いだろうって、つまりはそういう話だ」

「女性は、見た目より中身で判断する人が多いみたいですよ」

 私は前世で読んだ女性向けの雑誌のコラムを思い出していた。確か、『男性より女性の方が顔より性格で結婚相手を選ぶ』だったか・・・・・・恋愛経験ほぼゼロの私は、そういった話に疎かった。

「陛下・・・・・・急にどうされたのです?」

 陛下が私に、もたれ掛かる様に抱きついた瞬間、さっきまではしなかった酒の匂いがしていた。

「陛下、酔っ払ってます?」

「違う、私は酔っ払ってなどいない」

「酔っぱらいは、だいたいそういうんです。お酒を飲みましたね?」

「うん・・・・・・だって、今まで身体が子供だから飲ませて貰えなかったんだ。シャルロットに本当のことを言わなきゃって思ったら、頭が真っ白になって、緊張を解くためにアンドレが用意してくれたんだ」

「陛下、酒くさっ・・・・・・」

「だって、シャルロットを不幸にしたくなかったし、『白い結婚』なんて言われたくなかったんだ」

「白い結婚だろうが、青い結婚だろうが幸せになれればいいんです。陛下は陛下の、私は私の幸せを掴めばいいんです」

「別々なのか?」

「友達からですよ、陛下。今は、白い結婚をした友達同士です」

「うっ・・・・・・」

 私は悲しそうな陛下を、慰める事も出来なかった。前世でファンタジー小説ばかり読んでいて、ほぼ恋愛経験ゼロの人生だったことを初めて後悔した。

「陛下、休みましょう?」

「ここで休む」

「えっ?」

 陛下は私に抱きつくと、そのまま眠ってしまった。アンドレを呼ぼうか迷ったが、悲しそうな陛下を見ていたら、放っておけずに、そのまま執務室のソファーで一緒に眠っていたのだった。

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