国外追放から帰ってきた伯爵令嬢は、スタンピードをやっつけて宮廷魔術師になりましたが、平凡な生活を目指していたので、32才年下の国王陛下に婚約を迫られて困っています!!~改稿版~
結婚式
「なっ・・・・・・シャルロット?!」
「マルクス様、隙だらけですよ」
陛下は顔を赤くすると、両手で顔を覆っていた。
「シャルロット、いいんだな?」
「何言って・・・・・・」
私が聞き返そうとすると、陛下は私の肩を掴み抱き寄せ、キスをしていた。息継ぎが出来なくて肩を叩いていると、陛下は鼻で笑っていた。
「鼻で息をしろ」
「そんなっ・・・・・・急に言われても、出来ません!!」
陛下は唇を離すと、私を見つめていた。青い瞳に吸い込まれそうだった。
「深呼吸・・・・・・吸って――吐いて――」
私がスーハー言っていると、陛下が再びキスをしてきた。
「んっ・・・・・・」
深呼吸したせいか、今度は上手く出来ていたが、途中から背中がゾクゾクして全身から力が抜けていった。しばらくそうしていたが、陛下は唇を離すと私を抱きしめ直して、耳元で囁いた。
「結婚式を挙げよう」
「えっ・・・・・・どこで挙げるんですか?」
城に教会はない。街で挙げるにしても、暴虐の魔女は王都では恐れられているため、挙げる前にひと悶着ありそうだ。
「ソレイユ村でどうだ? あそこには、父親みたいな人が近くにいるし、君の第2の故郷みたいなものだろう?」
「父親みたいって、ガルシア先生の事を言ってます? ガルシア先生は女性ですよ」
「そう言えば、そうだったな。でも、君の保護者みたいなもんだろう?」
「そうかもしれませんが・・・・・分かりました。手紙を書いてみます」
「その必要はない」
「は?」
「週末にソレイユ村の教会を押さえてある。神父や教会の装飾についても、村長にお願いしてあるから大丈夫だ。招待リストも作ってある」
「まさか、私が答えを出す前から予約していたんですか? 私が断ったら、どうするつもりだったんです?」
「断らなかっただろう?」
私は陛下の用意周到さに呆れつつも、落胆していた。確かに、陛下に自由な時間などない。合理的に考えれば、その方がいいのだろう。けれど、私が答えを出す前に全て用意されていた事に関しては、憤りを感じていた。私は2人で出した答えで、2人で決めたかったのだ。これは、私のワガママだろうか?
「シャルロット、君と早く結婚したかったんだ。勝手なことをして、すまなかった。やっぱり、結婚式を挙げるのは辞めておくか?」
陛下は私が怒っていることに気がついたのか、再び抱きしめながら私の髪を撫でていた。
「別に構いません。私は陛下が・・・・・・私がマルクス様のことを、どう思っているか全てお見通しだったことが頭にきてしまったみたいです。私のワガママなので、気にしないでください」
「お見通し? だった訳ではないぞ?」
「それなら、どうして・・・・・・」
「アンドレが、もう予約した方がいいだろうと言ったんだ。私は反対したんだが、押し切られてしまってね。逆に、『この忙しいのに何言ってんだよ』って、顔をされてしまったよ」
「・・・・・・」
今になって、私はアンドレに仕事を振りすぎてしまったのかもしれないと思っていた。
先日、たまたま同僚のローランから聞いた話では、忙しすぎて家に帰れないでいたら、婚約者に浮気していると勘違いされて、婚約破棄されてしまったということだった。
「マルクス様、アンドレ様に休暇を与えた方がいいかもしれませんね」
「奇遇だな。私もそう思っていたんだ。結婚式が終わったら、アンドレには休暇を与えよう。本人は嫌がるかもしれないが」
「嫌がる?」
「確か、『働いている方がいいんだ』と言っていたな」
「おかしな話ですね。そのうち、倒れてしまいますよ?」
「1回、倒れるまで働いてみれば、いいんじゃないか? そうなれば、少しは自重するだろう」
「部下への対応が雑すぎませんか? 陛下の右腕なのに」
「そんな事はない・・・・・・と思う。それに、アンドレは昔から一緒にいるが、よく分からない所があるんだ。ただ、これだけは言える。アンドレは誰にも代え難い大切な部下だ」
「私への告白よりも熱が入ってますね?」
「国王だからな」
「国王陛下ですものね」
私達は顔を見合わせると、笑い合ったのだった。
「マルクス様、隙だらけですよ」
陛下は顔を赤くすると、両手で顔を覆っていた。
「シャルロット、いいんだな?」
「何言って・・・・・・」
私が聞き返そうとすると、陛下は私の肩を掴み抱き寄せ、キスをしていた。息継ぎが出来なくて肩を叩いていると、陛下は鼻で笑っていた。
「鼻で息をしろ」
「そんなっ・・・・・・急に言われても、出来ません!!」
陛下は唇を離すと、私を見つめていた。青い瞳に吸い込まれそうだった。
「深呼吸・・・・・・吸って――吐いて――」
私がスーハー言っていると、陛下が再びキスをしてきた。
「んっ・・・・・・」
深呼吸したせいか、今度は上手く出来ていたが、途中から背中がゾクゾクして全身から力が抜けていった。しばらくそうしていたが、陛下は唇を離すと私を抱きしめ直して、耳元で囁いた。
「結婚式を挙げよう」
「えっ・・・・・・どこで挙げるんですか?」
城に教会はない。街で挙げるにしても、暴虐の魔女は王都では恐れられているため、挙げる前にひと悶着ありそうだ。
「ソレイユ村でどうだ? あそこには、父親みたいな人が近くにいるし、君の第2の故郷みたいなものだろう?」
「父親みたいって、ガルシア先生の事を言ってます? ガルシア先生は女性ですよ」
「そう言えば、そうだったな。でも、君の保護者みたいなもんだろう?」
「そうかもしれませんが・・・・・分かりました。手紙を書いてみます」
「その必要はない」
「は?」
「週末にソレイユ村の教会を押さえてある。神父や教会の装飾についても、村長にお願いしてあるから大丈夫だ。招待リストも作ってある」
「まさか、私が答えを出す前から予約していたんですか? 私が断ったら、どうするつもりだったんです?」
「断らなかっただろう?」
私は陛下の用意周到さに呆れつつも、落胆していた。確かに、陛下に自由な時間などない。合理的に考えれば、その方がいいのだろう。けれど、私が答えを出す前に全て用意されていた事に関しては、憤りを感じていた。私は2人で出した答えで、2人で決めたかったのだ。これは、私のワガママだろうか?
「シャルロット、君と早く結婚したかったんだ。勝手なことをして、すまなかった。やっぱり、結婚式を挙げるのは辞めておくか?」
陛下は私が怒っていることに気がついたのか、再び抱きしめながら私の髪を撫でていた。
「別に構いません。私は陛下が・・・・・・私がマルクス様のことを、どう思っているか全てお見通しだったことが頭にきてしまったみたいです。私のワガママなので、気にしないでください」
「お見通し? だった訳ではないぞ?」
「それなら、どうして・・・・・・」
「アンドレが、もう予約した方がいいだろうと言ったんだ。私は反対したんだが、押し切られてしまってね。逆に、『この忙しいのに何言ってんだよ』って、顔をされてしまったよ」
「・・・・・・」
今になって、私はアンドレに仕事を振りすぎてしまったのかもしれないと思っていた。
先日、たまたま同僚のローランから聞いた話では、忙しすぎて家に帰れないでいたら、婚約者に浮気していると勘違いされて、婚約破棄されてしまったということだった。
「マルクス様、アンドレ様に休暇を与えた方がいいかもしれませんね」
「奇遇だな。私もそう思っていたんだ。結婚式が終わったら、アンドレには休暇を与えよう。本人は嫌がるかもしれないが」
「嫌がる?」
「確か、『働いている方がいいんだ』と言っていたな」
「おかしな話ですね。そのうち、倒れてしまいますよ?」
「1回、倒れるまで働いてみれば、いいんじゃないか? そうなれば、少しは自重するだろう」
「部下への対応が雑すぎませんか? 陛下の右腕なのに」
「そんな事はない・・・・・・と思う。それに、アンドレは昔から一緒にいるが、よく分からない所があるんだ。ただ、これだけは言える。アンドレは誰にも代え難い大切な部下だ」
「私への告白よりも熱が入ってますね?」
「国王だからな」
「国王陛下ですものね」
私達は顔を見合わせると、笑い合ったのだった。