国外追放から帰ってきた伯爵令嬢は、スタンピードをやっつけて宮廷魔術師になりましたが、平凡な生活を目指していたので、32才年下の国王陛下に婚約を迫られて困っています!!~改稿版~
晴れの日
結婚式当日は、空の青さがどこまでも続く快晴だった。
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
式が終わって外へ出ると、教会の前は人でごった返していた。村長やガルシア先生の他に、ギルド長までいる。
「ギルド長!! お久しぶりです。あの時は、お世話になりました」
「嬢ちゃん!! おめでとう。もう、嬢ちゃんじゃないか。王妃だもんな。あんなに幼かった嬢ちゃんが・・・・・・」
ギルド長は、いつにも増して暑苦しかった。1年半前に知り合ったばかりなのに小さい頃から知っているみたいな発言は、正直やめて欲しい。
「シャルロット様!!」
「ユリア様?!」
「お忍びで来てしまいました。この度は、おめでとうございます」
「あ、ありがとうございます。ユリア様も、お元気そうで」
「陛下から、これからはシャルロット様の外交を手助けするように言われております。これからも、よろしくお願い致します」
「ええ?! そうなんですね。初めて聞きました。こちらこそ、よろしくお願い致します」
陛下からは、何も聞いてなかった。陛下は陛下で辺境伯やアンドレ様に捕まっている。そういう事は事前に知らせて欲しい・・・・・・ユリア様が来るなんて思わなかった私は、更に驚いてしまった。
「よぅ、シャルロット」
ガルシア先生は、神父役が出来なくて残念だったのか、タキシードを着ていた。腕には赤ん坊を抱えている。学園長だろうが、色々誤解を招きそうだから、こちらも正直やめて欲しい。
「学園長から、伝言を預かっている『色々ありましたが、貴方が本当の幸せを掴めたことに、私は嬉しくもホッとしています。結界の事は学園の問題なので、気にせず、末永く幸せになってください』だとよ」
ガルシア先生が、そう言った後に赤ん坊は、ひと言だけ「ばぶー」と言った。結界については気になっていた為、ガルシア先生に時々、手紙で近況を聞いていたのだ。私は学園長の呪いについても気になっていたが、それは今日、聞くべきでも無いと思い、2人に笑顔で手を振った。
「ありがとうございます。今日、この日を迎えられたのは、学園で温かく迎えてくれた学園長やガルシア先生のおかげだと思っています。これからも、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い致します」
「シャルロット様!!」
「え? ローラン様と・・・・・・貴方は、確かマリアンヌ?!」
「はい、マリアンヌでございます。覚えていただいて光栄です」
お茶会に来ていた伯爵令嬢のマリアンヌがソレイユ村へ来ていた。
「二人は婚約者だったのね。知らなかったわ」
エスコートするローランと、微笑んでいるマリアンヌの様子から二人の仲が良いことが伺えた。
「ええ。もともと幼い頃からの許嫁だったのですが、実は私達、シャルロット様で意気投合してしまって」
「え? 私で意気投合?」
「すみません。変な言い方を・・・・・・私達は、暴虐の魔女と呼ばれながらも、新しい魔術薬や魔術具を開発するシャルロット様の大ファンでして、同じくシャルロット様のファンになっていたローラン様と意気投合して、このたび正式に結婚することになったのです」
「え? 私のファンで結婚?」
「とにかく、シャルロット様のお陰で私達は、縁を結ぶことが出来ました。ありがとうございました」
「えっ・・・・・・はい」
話についていけなかったが、2人が幸せそうなので良しとするべきだろう・・・・・・そう思い、とりあえず頷いておいた。
「それから、本日はおめでとうございます。これからも、お二人を陰ながら支えさせていただきますね」
「ありがとう」
「シャルロット様、お茶会は私にお任せください。私は焼き菓子の美味しいお店なら、熟知しております。その点では、お役に立てるでしょう」
「えっ・・・・・・助かるわ。ありがとう」
「シャルロット!! 助けてくれ」
「陛下?・・・・・・すみません、失礼します」
私は2人に挨拶をすると、陛下の元へ歩いて行った。何か揉めている訳でも無さそうだが、陛下は頭を抱えている。
「陛下、どうしたんで・・・・・・」
陛下の手には書状が握られていた。受け取って読んでみると、冤罪と脱税と貴族の横行についての告発文書が書かれた書状だった。
「めでたい日に、すみません。こうでもしないと、渡せなかったものですから」
小柄で白髪の紳士は、申し訳なさそうに頭を下げた。元国王が引き起こした王都の問題は、かなり是正されてきたが、地方はまだまだなのだろう。私は陛下から書状を受け取ると、内容を見ながら言った。
「マルクス様?」
「シャルロット・・・・・・」
私の手を掴んだ陛下は涙目だった。私は陛下の手を握ると、微笑みながら言った。
「少しずつ、是正していきましょう。陛下は、自分が正しいと思うことをしてください。それ以外は、私が何とかしますから」
「シャルロットが、カッコよく見えてきたよ。情けない声を出してすまない。こんな私だが、これからも側に居てくれるか?」
「はい。お側にいます・・・・・・これからも、ずっとです。陛下が嫌になっても、ずっとずっと、お側に居ますから」
「シャルロット!!・・・・・・愛してる」
「奇遇ですね、私も愛しております」
───その時、ソレイユ村に風が吹いて、道ばたに咲く小さな花が優しく揺れていた。
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
式が終わって外へ出ると、教会の前は人でごった返していた。村長やガルシア先生の他に、ギルド長までいる。
「ギルド長!! お久しぶりです。あの時は、お世話になりました」
「嬢ちゃん!! おめでとう。もう、嬢ちゃんじゃないか。王妃だもんな。あんなに幼かった嬢ちゃんが・・・・・・」
ギルド長は、いつにも増して暑苦しかった。1年半前に知り合ったばかりなのに小さい頃から知っているみたいな発言は、正直やめて欲しい。
「シャルロット様!!」
「ユリア様?!」
「お忍びで来てしまいました。この度は、おめでとうございます」
「あ、ありがとうございます。ユリア様も、お元気そうで」
「陛下から、これからはシャルロット様の外交を手助けするように言われております。これからも、よろしくお願い致します」
「ええ?! そうなんですね。初めて聞きました。こちらこそ、よろしくお願い致します」
陛下からは、何も聞いてなかった。陛下は陛下で辺境伯やアンドレ様に捕まっている。そういう事は事前に知らせて欲しい・・・・・・ユリア様が来るなんて思わなかった私は、更に驚いてしまった。
「よぅ、シャルロット」
ガルシア先生は、神父役が出来なくて残念だったのか、タキシードを着ていた。腕には赤ん坊を抱えている。学園長だろうが、色々誤解を招きそうだから、こちらも正直やめて欲しい。
「学園長から、伝言を預かっている『色々ありましたが、貴方が本当の幸せを掴めたことに、私は嬉しくもホッとしています。結界の事は学園の問題なので、気にせず、末永く幸せになってください』だとよ」
ガルシア先生が、そう言った後に赤ん坊は、ひと言だけ「ばぶー」と言った。結界については気になっていた為、ガルシア先生に時々、手紙で近況を聞いていたのだ。私は学園長の呪いについても気になっていたが、それは今日、聞くべきでも無いと思い、2人に笑顔で手を振った。
「ありがとうございます。今日、この日を迎えられたのは、学園で温かく迎えてくれた学園長やガルシア先生のおかげだと思っています。これからも、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い致します」
「シャルロット様!!」
「え? ローラン様と・・・・・・貴方は、確かマリアンヌ?!」
「はい、マリアンヌでございます。覚えていただいて光栄です」
お茶会に来ていた伯爵令嬢のマリアンヌがソレイユ村へ来ていた。
「二人は婚約者だったのね。知らなかったわ」
エスコートするローランと、微笑んでいるマリアンヌの様子から二人の仲が良いことが伺えた。
「ええ。もともと幼い頃からの許嫁だったのですが、実は私達、シャルロット様で意気投合してしまって」
「え? 私で意気投合?」
「すみません。変な言い方を・・・・・・私達は、暴虐の魔女と呼ばれながらも、新しい魔術薬や魔術具を開発するシャルロット様の大ファンでして、同じくシャルロット様のファンになっていたローラン様と意気投合して、このたび正式に結婚することになったのです」
「え? 私のファンで結婚?」
「とにかく、シャルロット様のお陰で私達は、縁を結ぶことが出来ました。ありがとうございました」
「えっ・・・・・・はい」
話についていけなかったが、2人が幸せそうなので良しとするべきだろう・・・・・・そう思い、とりあえず頷いておいた。
「それから、本日はおめでとうございます。これからも、お二人を陰ながら支えさせていただきますね」
「ありがとう」
「シャルロット様、お茶会は私にお任せください。私は焼き菓子の美味しいお店なら、熟知しております。その点では、お役に立てるでしょう」
「えっ・・・・・・助かるわ。ありがとう」
「シャルロット!! 助けてくれ」
「陛下?・・・・・・すみません、失礼します」
私は2人に挨拶をすると、陛下の元へ歩いて行った。何か揉めている訳でも無さそうだが、陛下は頭を抱えている。
「陛下、どうしたんで・・・・・・」
陛下の手には書状が握られていた。受け取って読んでみると、冤罪と脱税と貴族の横行についての告発文書が書かれた書状だった。
「めでたい日に、すみません。こうでもしないと、渡せなかったものですから」
小柄で白髪の紳士は、申し訳なさそうに頭を下げた。元国王が引き起こした王都の問題は、かなり是正されてきたが、地方はまだまだなのだろう。私は陛下から書状を受け取ると、内容を見ながら言った。
「マルクス様?」
「シャルロット・・・・・・」
私の手を掴んだ陛下は涙目だった。私は陛下の手を握ると、微笑みながら言った。
「少しずつ、是正していきましょう。陛下は、自分が正しいと思うことをしてください。それ以外は、私が何とかしますから」
「シャルロットが、カッコよく見えてきたよ。情けない声を出してすまない。こんな私だが、これからも側に居てくれるか?」
「はい。お側にいます・・・・・・これからも、ずっとです。陛下が嫌になっても、ずっとずっと、お側に居ますから」
「シャルロット!!・・・・・・愛してる」
「奇遇ですね、私も愛しております」
───その時、ソレイユ村に風が吹いて、道ばたに咲く小さな花が優しく揺れていた。