国外追放から帰ってきた伯爵令嬢は、スタンピードをやっつけて宮廷魔術師になりましたが、平凡な生活を目指していたので、32才年下の国王陛下に婚約を迫られて困っています!!~改稿版~
第3話
次の日の朝になって、学園の中へ入ると学園内は、まだ夜中だった。結界を張り直した後、50年の眠りにつかないとならないため、結界の外で眠る習慣がついてしまっていたのだ。
燭台を片手に学園長室に入ると、ミーアはゆりかごの中で眠っていた。机の椅子に腰掛けると静寂の中に、椅子が軋む『キィ』という音が響いた。
「誰だ?」
ガルシア殿の声だった。私は声を潜めながら答えた。
「私だ」
「何だ、妖精王か。眠れないのか?」
「いや、もう充分過ぎるくらいに眠ったのだ」
「・・・・・・そうであろうな」
ガルシア殿は、私の言った言葉の意味を取り違えている様だったが、二人が寝ている部屋を、そっと出ようとした。
「妖精王、一つ疑問なんだが」
「何だ?」
「学園長と妖精王は、『番』なのであろう? どうして助けてやらないのだ?」
「妖精王であっても、出来ないことはある」
「私が聞いた話では、妖精の番同士の『能力』は、共有することが出来ると聞いているぞ。妖精王は、地の精の力を借りて『呪い消し』が出来るんじゃないか?」
「それは・・・・・・ガルシア殿には、関係の無いことだ」
「関係無くはないさ。ミーア学園長は、私の上司であると同時に友人だ」
「能力は共有出来なかったんだ。仕方がない」
「やっぱり・・・・・・形だけの夫婦だったんだな?」
「・・・・・・」
何かを言い返そうとして、何も言い返せなかった。以前、私に笑いかけてくれたミーアは、もうここにはいないのだ。その事実が浮き彫りになって、息苦しい思いに囚われていた。
私の身長は、ミーアの2倍はある・・・・・・。それだけじゃない。私は幼い見た目のミーアに触れることすら出来なかったのだ。大事に大事にしてきたつもりが、また彼女を傷つけ、失ってしまった。私は何と愚かで自分のことしか考えていなかったのだろう。
燭台を片手に学園長室に入ると、ミーアはゆりかごの中で眠っていた。机の椅子に腰掛けると静寂の中に、椅子が軋む『キィ』という音が響いた。
「誰だ?」
ガルシア殿の声だった。私は声を潜めながら答えた。
「私だ」
「何だ、妖精王か。眠れないのか?」
「いや、もう充分過ぎるくらいに眠ったのだ」
「・・・・・・そうであろうな」
ガルシア殿は、私の言った言葉の意味を取り違えている様だったが、二人が寝ている部屋を、そっと出ようとした。
「妖精王、一つ疑問なんだが」
「何だ?」
「学園長と妖精王は、『番』なのであろう? どうして助けてやらないのだ?」
「妖精王であっても、出来ないことはある」
「私が聞いた話では、妖精の番同士の『能力』は、共有することが出来ると聞いているぞ。妖精王は、地の精の力を借りて『呪い消し』が出来るんじゃないか?」
「それは・・・・・・ガルシア殿には、関係の無いことだ」
「関係無くはないさ。ミーア学園長は、私の上司であると同時に友人だ」
「能力は共有出来なかったんだ。仕方がない」
「やっぱり・・・・・・形だけの夫婦だったんだな?」
「・・・・・・」
何かを言い返そうとして、何も言い返せなかった。以前、私に笑いかけてくれたミーアは、もうここにはいないのだ。その事実が浮き彫りになって、息苦しい思いに囚われていた。
私の身長は、ミーアの2倍はある・・・・・・。それだけじゃない。私は幼い見た目のミーアに触れることすら出来なかったのだ。大事に大事にしてきたつもりが、また彼女を傷つけ、失ってしまった。私は何と愚かで自分のことしか考えていなかったのだろう。