国外追放から帰ってきた伯爵令嬢は、スタンピードをやっつけて宮廷魔術師になりましたが、平凡な生活を目指していたので、32才年下の国王陛下に婚約を迫られて困っています!!~改稿版~

第4話

「姿形に囚われる事なく、彼女を愛してあげれば良かった。いや、愛していたのだ。本当に・・・・・・彼女も、私の事を愛してくれていた。誰かを置いていくのも、誰かに置いて行かれるのも、もうたくさんだと言っていたな」

「フォース国に解呪法に詳しい魔術師がいると聞いたことがある。一度、行ってみてはどうだ?」

「いや、妖精が絡んだ契約に人間の作った解呪法は効かないだろう?」

「ミーアのことは、諦めるのか? 赤ん坊は確かにミーアだが、番が側に戻ったからといって、記憶が元に戻るとは限らないぞ。前回は記憶が戻らなかったんだろう?」

「できる限りのことはしたいと思っている・・・・・・けれど、何が正しいか何て分からないんだ!!」

「・・・・・・」

「すまん。大声を出してしまったな」

「私は構わないさ。でも、ミーアは起きてしまったみたいだな」

 ミーアは、つぶらな瞳で私達を見上げていた。その様子から、私達を分かってはいないのだろうと感じていた。

「結界を張り直した後、最後にミーアに会った時、彼女は「この後、どんな結果になっても恨まないわ。だって200年も生きたんだもの。もう充分過ぎるくらいに幸せだった。貴方を愛しているわ」と言っていたんだ。あの時は・・・・・・眠りにつく私への『当てつけ』だと思っていたんだ。だが、違ったんだ。彼女は最初から、こうなることが分かっていた」

「妖精王・・・・・・どうするんだ? 諦めるのか?」

「いや・・・・・・私も人間達を見習って、最後まで『悪あがき』をさせてもらうよ。フォース国へ行く」

「分かった。入国手続きは、こっちでしておく。学園長をよろしくな」

「分かっている」

 私は彼女の手を取ると、自身の魔力を彼女へ注いでいった。赤ん坊のミーアは、何が楽しいのか、魔力を補充している間、ニコニコと笑っていたのだった。


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