国外追放から帰ってきた伯爵令嬢は、スタンピードをやっつけて宮廷魔術師になりましたが、平凡な生活を目指していたので、32才年下の国王陛下に婚約を迫られて困っています!!~改稿版~

番外編2 ダンジョン

「ガルシア先生に会いたい・・・・・・ですか?」

 私は村での結婚式を終えると、城へ帰る前に観光しようと思い、陛下と街で1泊していた。明日の朝に帰る予定だったが、その前にギルドへ顔を出していた。

「不味いのか?」

「いえ・・・・・結婚式に来てましたけど、その時にお話はされなかったのですか?」

「いたのか?」

「ええ、まあ・・・・・・」

 私はガルシア先生が神父役をやりたくてタキシードを着ていたことは話せないと思った。おまけに赤ん坊の姿になった学園長を抱いていたのだ。気がつかなくても、しょうがないかもしれない。

「ガルシア先生に何か用ですか?」

「あーうん、用って程でもないんだが、以前スタンピードが起きたときに、テントを売ってくれるような話をしてたろ?」

 私は自身の記憶を辿りながら、魔物の群れと闘う前に、そんな話をしていたかもしれないな・・・・・・。と思い出していた。

「そういえば、生きて帰れたらテントが欲しい──みたいな事を、ギルド長は仰ってましたね」

「急ぎじゃないんだが、今度他国にあると言われてるダンジョンに行くときに持って行けないかと思ってよ。急ぎじゃないんだが」

「分かりました。ガルシア先生に伝えておきます」

 ギルド長はぎこちない笑みを浮かべながら頭をかいていた。

「他国に行くまでに、カルケ峠があるだろう? まず第一に、ダンジョンにたどり着けるかどうかが問題だよな」

「ギルド長なら出来ますよ」

「そうかぁ?」

「珍しい薬草が手に入ったら、分けてください。定価で買いますので」

「なんだ、おだてた理由は、薬草のためか」

「そんなこと、ありませんよ」

 私は珍しい薬草が手に入るかもしれないと思うと嬉しくて、スキップでもしそうな足取りで、ギルドをあとにしたのだった。


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