氷と花
わき上がる疑問を読み取ったのか、ネイサンはふっと微笑を漏らし、マージュの耳元にそっとささやいた。
「わたしに任せてくれ……できるだけ、痛まないようにするから」
低くかすれた声に、マージュは身震いする。
「いたい……の?」
「ああ……皆、そう言うね。わたしが個人的に経験したわけではないが……」
いつのまにかネイサンの手が胸を離れ、マージュを包む衣服をまさぐっていた。あちこちにある下着のリボンを慎重にほどき、ゆっくりとマージュの素肌に近づいてくる。
マージュは無意識に体をくねらせ、ネイサンの動きを助けていた。
「しかし、すでに忠告したとおり……もう止めることはできない。わたしに出来るのは、できるだけ君を濡らして楽にしてあげることだけだ。そして君にできるのは、わたしの想いを受け止めることだけ……」
ドレスが脱がされ、下着がはだけていく。
窓からはカーテンの薄布を通して太陽の光が差し込んでいた。ずっと、こうした行為は夜の静けさの中で行われるものだと思っていたのに、マージュに戸惑いはなかった。
薄明かりを受けるネイサンの姿は美しく、光の下でゆっくりと氷の心を溶かしていくさまは、マージュの全身を誇りと喜びで震えさせた。
「止めません……だから止めないで」
ネイサンは自らの上着を脱ぎ捨て、白いシャツの前面をはだけさせた。
現れたたくましい胸板はすでに汗がにじみ、激しい呼吸に大きく上下している。はじめて見る彼のむき出しの二の腕は、想像以上に筋肉質で、力強かった。
すっかり裸になったマージュを覆うように、ズボンだけの姿になったネイサンが重なってくる。
まず、耳たぶを甘く噛まれ、マージュはすすり泣いた。
「本当に?」
ネイサンはくぐもった熱い声で聞いてきた。
「はい」
自分でも聞き取れないくらい小さな声でつぶやいたにもかかわらず、ネイサンにはそれで十分だったようだ。
彼の指先が、そっとマージュの両足の付け根……もっとも個人的な部分へと忍び込んでくる。柔らかく茂った、髪と同色の森を抜けたネイサンの指は、そのさらに奥、誰も触れたことのない花弁へと到達した。
「そ、そこは……っ!」
びくんと、腰が跳ねる。
その時はじめて、マージュはふたりがしようとしている愛の行為に恐怖を感じた。
マージュの恐れをあざ笑うかのように、くちゅ、くちゅ、という艶かしい濡れた音が響いてくる。同時に狂おしい快感が、マージュの体の芯を駆け抜けていった。胸を触られた時よりもさらに原始的な、もっと深い悦びだった。
「ご、ごめんな……さい……」
瞳に涙を溜めながら、マージュは口ごもった。
ネイサンの指の動きがぴたりと止まる。
続いて、股の間に流れでる液体を感じて、マージュはさらに恥じ入った。「ごめんなさい……。嫌いにならないで……」
「マージュ、嫌なのかい?」
ネイサンは灰色の瞳をまたたき、動揺を押し殺そうとしているようだった。彼の指が恥部を離れる時、もっとも敏感な蕾をかすり、マージュはあまりの快感に我を忘れて悲鳴に似た声を上げた。
「や……やめないで……欲しいの。でも……どうしてか分からないけど……わたしの……下の……足の間が濡れていて……」
「そうだな」
ネイサンは恥部から離した手をじっと見つめた。指先はねっとりと唾液のような液体に覆われている。「よく濡れている。君はとても敏感だ……とても……美しい」
美しい?
嫌悪されたり、汚らしいと思われたりはしないのだろうか……?
「わ、わたし……これでいいの?」
「なにがだい?」
「その……いまの部分が……濡れてしまっているのが……。あなたが指をあてがって触ってくれるのに、濡らしてしまって……汚らしいでしょう……?」
片眉を上げ、なんとも言えない奇妙な顔をしたネイサンは、急にぶっきらぼうな口調になって繰り返した。
「指」
「え、ええ……」
「マージュ」
優しかった声が不穏なものに変わり、マージュは肩を縮ませた。ネイサンは吐き出すように、早口になった。
「わたしが君のそこにあてがうのは、指だけではない。舌でもじっくり味わうつもりだし、忘れないで欲しいのだが、わたし自身も入らせていただく。そして君がそこから漏らす蜜は……」
ネイサンの両手がマージュの膝をつかみ、足を広げさせた。そしてマージュに悲鳴をあげる隙を与えずに、茂みの中に顔を埋める。ネイサンの温かい舌がマージュの恥部をなめあげた。
一瞬にして、恍惚としてしまうほどの悦びに貫かれ、マージュは震えた。
「君の蜜は、わたしの誇りであり、喜びであり、幸せだ。君がここを濡らしてくれればくれるほど、わたしのエゴは満足し、魂は満たされていく」
さらに舌での執拗な刺激を加えられ、マージュはこの世のものとは思えない快感に包まれ、嬌声を漏らしながら天国へ達した。体の奥でなにかが弾け、それが全身に広がっていく。
これほど激しい喜びを感じたことはなかった。
いつのまにか、はあ、はあと荒い息を繰り返すマージュを見下ろしていたネイサンは、また元の優しい顔に戻っていた。
「この蜜は、わたしの愛情に君が応えてくれた証だ。恥じることなんてなにもない。もっと出してごらん。その方が楽になるから」
「ネイサン……」
この瞬間を覚えていたいと、マージュは思った。
いつまでも。
いつまでも。
心の底からあなたを受け入れたいと思ったいまの自分を。わたしを愛していると言ってくれたあなたを。覚えていたい。
ネイサンがズボンと下着を下ろすと、マージュには未知の力強い突起が現れた。それは太く、熱く脈を打っていて、マージュを恐れさせ、同時に感嘆させた。
「わたしに任せてくれ……できるだけ、痛まないようにするから」
低くかすれた声に、マージュは身震いする。
「いたい……の?」
「ああ……皆、そう言うね。わたしが個人的に経験したわけではないが……」
いつのまにかネイサンの手が胸を離れ、マージュを包む衣服をまさぐっていた。あちこちにある下着のリボンを慎重にほどき、ゆっくりとマージュの素肌に近づいてくる。
マージュは無意識に体をくねらせ、ネイサンの動きを助けていた。
「しかし、すでに忠告したとおり……もう止めることはできない。わたしに出来るのは、できるだけ君を濡らして楽にしてあげることだけだ。そして君にできるのは、わたしの想いを受け止めることだけ……」
ドレスが脱がされ、下着がはだけていく。
窓からはカーテンの薄布を通して太陽の光が差し込んでいた。ずっと、こうした行為は夜の静けさの中で行われるものだと思っていたのに、マージュに戸惑いはなかった。
薄明かりを受けるネイサンの姿は美しく、光の下でゆっくりと氷の心を溶かしていくさまは、マージュの全身を誇りと喜びで震えさせた。
「止めません……だから止めないで」
ネイサンは自らの上着を脱ぎ捨て、白いシャツの前面をはだけさせた。
現れたたくましい胸板はすでに汗がにじみ、激しい呼吸に大きく上下している。はじめて見る彼のむき出しの二の腕は、想像以上に筋肉質で、力強かった。
すっかり裸になったマージュを覆うように、ズボンだけの姿になったネイサンが重なってくる。
まず、耳たぶを甘く噛まれ、マージュはすすり泣いた。
「本当に?」
ネイサンはくぐもった熱い声で聞いてきた。
「はい」
自分でも聞き取れないくらい小さな声でつぶやいたにもかかわらず、ネイサンにはそれで十分だったようだ。
彼の指先が、そっとマージュの両足の付け根……もっとも個人的な部分へと忍び込んでくる。柔らかく茂った、髪と同色の森を抜けたネイサンの指は、そのさらに奥、誰も触れたことのない花弁へと到達した。
「そ、そこは……っ!」
びくんと、腰が跳ねる。
その時はじめて、マージュはふたりがしようとしている愛の行為に恐怖を感じた。
マージュの恐れをあざ笑うかのように、くちゅ、くちゅ、という艶かしい濡れた音が響いてくる。同時に狂おしい快感が、マージュの体の芯を駆け抜けていった。胸を触られた時よりもさらに原始的な、もっと深い悦びだった。
「ご、ごめんな……さい……」
瞳に涙を溜めながら、マージュは口ごもった。
ネイサンの指の動きがぴたりと止まる。
続いて、股の間に流れでる液体を感じて、マージュはさらに恥じ入った。「ごめんなさい……。嫌いにならないで……」
「マージュ、嫌なのかい?」
ネイサンは灰色の瞳をまたたき、動揺を押し殺そうとしているようだった。彼の指が恥部を離れる時、もっとも敏感な蕾をかすり、マージュはあまりの快感に我を忘れて悲鳴に似た声を上げた。
「や……やめないで……欲しいの。でも……どうしてか分からないけど……わたしの……下の……足の間が濡れていて……」
「そうだな」
ネイサンは恥部から離した手をじっと見つめた。指先はねっとりと唾液のような液体に覆われている。「よく濡れている。君はとても敏感だ……とても……美しい」
美しい?
嫌悪されたり、汚らしいと思われたりはしないのだろうか……?
「わ、わたし……これでいいの?」
「なにがだい?」
「その……いまの部分が……濡れてしまっているのが……。あなたが指をあてがって触ってくれるのに、濡らしてしまって……汚らしいでしょう……?」
片眉を上げ、なんとも言えない奇妙な顔をしたネイサンは、急にぶっきらぼうな口調になって繰り返した。
「指」
「え、ええ……」
「マージュ」
優しかった声が不穏なものに変わり、マージュは肩を縮ませた。ネイサンは吐き出すように、早口になった。
「わたしが君のそこにあてがうのは、指だけではない。舌でもじっくり味わうつもりだし、忘れないで欲しいのだが、わたし自身も入らせていただく。そして君がそこから漏らす蜜は……」
ネイサンの両手がマージュの膝をつかみ、足を広げさせた。そしてマージュに悲鳴をあげる隙を与えずに、茂みの中に顔を埋める。ネイサンの温かい舌がマージュの恥部をなめあげた。
一瞬にして、恍惚としてしまうほどの悦びに貫かれ、マージュは震えた。
「君の蜜は、わたしの誇りであり、喜びであり、幸せだ。君がここを濡らしてくれればくれるほど、わたしのエゴは満足し、魂は満たされていく」
さらに舌での執拗な刺激を加えられ、マージュはこの世のものとは思えない快感に包まれ、嬌声を漏らしながら天国へ達した。体の奥でなにかが弾け、それが全身に広がっていく。
これほど激しい喜びを感じたことはなかった。
いつのまにか、はあ、はあと荒い息を繰り返すマージュを見下ろしていたネイサンは、また元の優しい顔に戻っていた。
「この蜜は、わたしの愛情に君が応えてくれた証だ。恥じることなんてなにもない。もっと出してごらん。その方が楽になるから」
「ネイサン……」
この瞬間を覚えていたいと、マージュは思った。
いつまでも。
いつまでも。
心の底からあなたを受け入れたいと思ったいまの自分を。わたしを愛していると言ってくれたあなたを。覚えていたい。
ネイサンがズボンと下着を下ろすと、マージュには未知の力強い突起が現れた。それは太く、熱く脈を打っていて、マージュを恐れさせ、同時に感嘆させた。