氷と花
Daydream
もうずいぶんと長い間、ふたりが広間で話し合っているのを、ネイサンは書斎の窓辺に立ちながらじっと待っていた。フレドリックとマージュが議論している間、ネイサンは蚊帳の外……部外者だった。
ネイサンはひとり、灰色の空から降りてくる初冬の光を窓越しに受け、書斎の奥にたたずんでいた。
胸が岩の下敷きにされたように圧迫される。
息が苦しい。
不安で崩れそうになる足元を正すのに、脂汗がにじむほどの気力が必要だった。
書斎と広間の扉はしっかりと閉じられ、ふたりの話し声はネイサンの元まで届かない。
一度だけフレドリックが短く声をあげるのが聞こえた時は、邪魔をせずに待っているという約束を破って、広間に突進して弟を窓から放り出してしまいたくなった。
そんなネイサンの焦りを察したらしいマージュが「大丈夫よ、まだ待っていて」と広間から声を上げたので、踏みとどまったのだ。しかし、それからすぐに終わるだろうと思った元恋人同士の『話し合い』は、まだ続いている。
ネイサンの頭は後悔で溢れかえっていた。
ネイサンはひとり、灰色の空から降りてくる初冬の光を窓越しに受け、書斎の奥にたたずんでいた。
胸が岩の下敷きにされたように圧迫される。
息が苦しい。
不安で崩れそうになる足元を正すのに、脂汗がにじむほどの気力が必要だった。
書斎と広間の扉はしっかりと閉じられ、ふたりの話し声はネイサンの元まで届かない。
一度だけフレドリックが短く声をあげるのが聞こえた時は、邪魔をせずに待っているという約束を破って、広間に突進して弟を窓から放り出してしまいたくなった。
そんなネイサンの焦りを察したらしいマージュが「大丈夫よ、まだ待っていて」と広間から声を上げたので、踏みとどまったのだ。しかし、それからすぐに終わるだろうと思った元恋人同士の『話し合い』は、まだ続いている。
ネイサンの頭は後悔で溢れかえっていた。