来世はあなたと結ばれませんように

「マリー。すまない。寝てしまったようだ。ほら、水を飲んで。その後で食事と薬を持ってこさせよう」

「起こしてしまってごめんなさい」

「いやいや。そろそろ起きないといけない時間だったから、気にしないで。さぁ、水を」

 夫から手渡されたグラスを受け取って少しずつ飲む。

「いつもごめんなさい。エドガー。あなたちゃんと食べているの? あなたが食べないのなら私も一口だって食事をとりませんからね」

 エドガーは柔らかい笑みを私に向けて、私の手をとる。

「心配しないで。ちゃんと食べているよ。すまないね。ずっと側にいてやりたいが今日も陛下に呼ばれている。何かあればすぐに駆けつけるから、我慢しないで侍女のアメルダに言うんだよ。私はもう少し部屋で休むとするよ」

「ホットミルクでも作りましょうか? すぐ寝付けるわよ」

「久しぶりのホットミルクか! 君の作ったホットミルクを飲むと魔法がかかったみたいによく眠れるんだよなぁ。でもねマリー。今日はなんだか瞼がやけに重いんだ。瞼がくっついて離れなくなったらどうしようって不安なくらいにね!」

 彼は私を笑わせるためにわざと面白く言ってくれる。
 しかし、彼の目の下のクマが痛々しく感じた。

「無理しないでくださいね」
「わかってるよ」

 夫が私の頬に軽くキスをすると、丁寧な口調で囁く。

「愛してるよ。マリー」
「いきなりどうしたのよ」
「別に。言いたかっただけさ。さっ、食事をとって薬を飲んで、早く元気になるんだよ」

 彼はそう言って私の寝室から出ていく。
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