不器用な灯火


帰る家が無くなったわたしは、今日は久登の家にお邪魔することにした。

「ごめんね。明日からは、家が見つかるまで古民家に寝泊まりするから。」

わたしがそう言うと、久登は「いつまで居てくれても構わない。俺に遠慮なんてするな。」と言ってくれた。

「千紗は俺のベッドを使っていいから。」
「え、久登は?」
「俺はソファーで寝る。」
「いいよ、わたしがソファーで寝るから。」

わたしがそう言うと、久登は「千紗は、ちゃんと布団で寝た方がいい。色々と疲れただろ。シャワーも勝手に使っていいから。」と言い、わたしに向かって白いバスタオルを投げた。

わたしはバスタオルを受け取ると、「久登、ありがとう。」と言った。

久登は「気にするな。」と言うと、ソファーに寝転がり、こちらに背を向けた。

不器用だけど、優しい久登。

わたしは久登の言葉に甘えて、しばらくの間、久登の家に寝泊まりさせてもらうことにしたのだった。

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