不器用な灯火

次の日から、わたしは1週間お休みをもらった。

そして、何も分からず、憔悴しきっているわたしの代わりに菅野さんや他のお父さんの職場仲間の人たちが、お父さんのお葬式と火葬の手配をしてくれた。

お葬式には久登も参列してくれて、ずっとわたしの側にいてくれた。

わたしは、もう一生分の涙を使い果たしたんじゃないかというくらいまで泣いた。

そして、お父さん白い骨壺に入って、戻ってきた。




1週間のお休みが終わると、わたしは以前と変わらず会社に出勤した。
変わったことと言えば、久登の家から出勤しているということくらいだ。

会社に出勤すると、真っ先に絵里奈社長が駆け寄ってきた。

「1週間お休みをいただき、ありがとうございました。」
わたしがそう言うと、絵里奈社長は「新星さん、大変だったわね〜。お父様が亡くなって悲しかったでしょ?あなたが居なかった1週間、あなたの分の業務は全て久登がやってくれてね、久登も凄く大変だったのよ〜?久登に感謝しなさいね?」と言った。

身内を亡くした人間に最初に言う言葉がそれ?と思ったが、わたしの分の業務を久登が代わりにしていてくれていたことは知らず驚いた。

「久登、そうだったの?ありがとう。」
わたしがそう言うと、久登は「それくらい当たり前だろ。」と言い、自分のデスクについたのだった。

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