不器用な灯火

久登の家に帰ると、わたしは久登が沸かしてくれた湯船に浸かった。

温かい、、、。

そして、湯船に浸かりながら考えた。

わたしは、ここに居ていいんだろうか。
久登に迷惑かけてばかりで、わたしなんて居なくなった方がいいんじゃないだろうか。

もうわたしの身体は穢れ、心も壊れかけている。
こんな汚いわたしがこのまま久登を好きでいて良いわけがない。

唯一の家族だったお父さんも亡くし、わたしがこの町に残っている意味はあるのか。
それなら、この町から離れた方がいいんじゃないだろうか。

それか、いっそのことお父さんとお母さんのところへ、、、

そんなことを考えながら、わたしはまた必要以上に身体を隅々まで洗った。

お風呂から上がると、久登はベッドに腰を掛け、何かを考えている様子だった。

そして、わたしがお風呂から上がったことに気付くと「あったまったか?」と訊いてきた。

「うん、あったまったよ。ありがとう。」

わたしはそう言うと、久登の隣に腰を掛けた。

< 21 / 31 >

この作品をシェア

pagetop