不器用な灯火

わたしたちは身体を重ねると、久登はゆっくりとわたしの中に入ってきた。
そして、ゆっくり優しく、わたしを突き上げてくる。

わたしは我慢出来ずに声を上げた。

すると、久登が心配そうに「大丈夫か?」と訊いてくれる。
わたしは「ううん、幸せだよ」と答えると、久登にキスをした。

わたしの中で苦痛だった行為が幸せなものへと変わっていくのを感じた。

久登が動く度に、わたしは幸せな声を上げる。

「千紗、綺麗だよ。」

わたしたちは朝日が顔を覗かせるまで、お互いを求め合ったのだった。


そして、目が覚めたときには、お昼の12時を回っていた。

裸のまま寝てしまっていたわたしたち。
久登の腕の中で眠っていたわたしは、久登の顔を見上げた。

整った綺麗な顔立ちの久登。
わたしはその頬に思わずキスをした。


それからわたしたちは、お互いに鞄一つに最低限のものを詰め込み、この生まれ育った町を出た。

手を繋ぎ、これからの明るい未来を探しに新しい街を目指して歩いて行く。

久登と一緒なら、どこにでも行けそうな気がした。





―END―


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