不器用な灯火

「社長、社員を紹介します。」

住田課長が窓際で鼻歌を歌う新社長の古瀬絵里奈社長に声を掛ける。

すると、社長はキョトンとした表情でこちらを振り向いたかと思うと、パッと表情が明るくなり、こちらに駆け寄ってきた。

「この会社にイケメン君が居たんだぁ!おじさんばっかりだと思ってたから嬉しい!」

絵里奈社長は久登を見るなり、嬉しそうにそう言った。

そして、ふとわたしの方に視線を移すと眉間にシワを寄せ「んー、わたし巨乳ちゃんは嫌いなんだよね。」と言い出したのだ。

わたしは恥ずかしくなり、つい両手で胸を隠す仕草をしてしまった。

わたしは小さい頃から周りの子たちよりも胸の発達が早く、それが目立ってしまっていた為、自分の胸がコンプレックスなのだ。

「ねぇ、イケメン君!今日わたしとデートしない?」
久登の腕に絡みつき、絵里奈社長は言った。

久登は「俺の名前は、戸倉久登です。デートはしません。それに離してください。」と絡みついた絵里奈社長の振り払っていた。

絵里奈社長は「イケメン君、クール〜!でも、そうゆうの嫌いじゃない!」と言い、一人ウキウキと楽しそうだった。

この会社は大丈夫なんだろうか。

そう思わざるを得なかった。

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