不器用な灯火

その日の休憩時間。
わたしは女子トイレで手を洗っていた。

すると、女子トイレの扉が開き、絵里奈社長が入ってきたのだ。

絵里奈社長は、わたしのすぐ横まで来ると低い声で「ねぇ。」と言ってきた。

「は、はい、、、。」
「あんた、久登の何なの?彼女?」
「い、いえ、、、ただの幼馴染です。」
「まぁ、彼女じゃないならクビするのは許してあげるけど、あんまり久登と仲良くしないでくれる?幼馴染だか何だか知らないけど、調子乗ってると痛い目みるよ。」

絵里奈社長は、そう言い残すと女子トイレから出て行った。

さっきの久登に話し掛けていた時の雰囲気とは全く違い、ある意味殺意を感じた。

でも、業務上話さないと行けない時があるし、、、
どうしたら良いんだろう。

わたしは悩んだまま、しばらく女子トイレから出ることが出来なかった。

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