【完結】皇帝陛下の軍師寵姫
第1章

1 後宮へ嫁入り

私の名前はエティーナ=ローザンドラ。
ローザンドラ男爵家の令嬢であり、後宮に嫁入りすることが決まっている。

しかし、実は私は前世の記憶持ちの転生令嬢だったのだ。
前世では、日本という国におり、主に趣味は戦国ゲームであった。
私生活については断片的にしか覚えていないが、こと戦国についての知識は事細かに思い出せる。
とにかく戦国というものが好きだったようだ。

そんな私が転生したら世界は何の縁があってか、戦国時代だった。
大陸は大きく8つに分かれ、激しい戦いを繰り返していた。

私が後宮に嫁入りするのも、そうすれば、ローザンドラ家への兵役が軽くなる為、という一面もある。
誰も好き好んで戦いなどしたくはないのだ。
私以外は…と付け加えておこう。

そんな私が入る後宮はもちろん、この国エドババーバ国の王都エドバにあるエドバ城の後宮である。

後宮は6つに分かれており、ダイヤモンドの後宮、エメラルドの後宮、ルビーの後宮、サファイアの後宮、トパーズの後宮、パールの後宮、である。

私はトパーズの後宮に入ることが決定していた。
まぁ、順当に言って、先に紹介した後宮から位が高い。
ダイヤモンドの後宮には他国の王族の姫君が、エメラルドの後宮には大公・公爵家の姫君が、ルビーの後宮には侯爵家の姫君、サファイアの後宮には伯爵・辺境伯の姫君、トパーズの後宮には男爵・子爵の姫君、パールの後宮には準男爵・騎士爵の姫君が、それぞれ居た。

その後宮に入ると、装飾品はその宝石でしか作ってはならず、ルビーの後宮の者がダイヤモンドやエメラルドを付けてはならないらしい。
宝石になど、ほとんど興味のない私はどうでも良かったが、これは後宮の絶対の規則でもあった。

そして、私の嫁入りの日は訪れ、私は馬車に揺られ王都エドバに向かった。

エドバ城に到着すると、巨大な宝石の施された6つの塔が見えた。
ダイヤモンド、エメラルド、ルビー、サファイア、トパーズ、パールである。
ちなみに、エドバ城には、金の大きな細工がはめ込まれている。

私の馬車は迷う事なくトパーズの塔に入って行った。

「ようかそらエドバ城へ。
私はエティーナ様のお世話をさせていただきます、マリアと申します。
一応女官の地位にございますので、他に2人侍女もおりますわ。
レイとアールです。」

「レイにございます!」
「アールにございます!」

マリアの背後に居た2人の侍女が挨拶する。

「そんなに畏まらなくて良いわ。
よろしく、マリア、レイ、アール。」

私は簡単に、けれど、にこやかに挨拶した。

「長旅でお疲れでございましょう?
今日はゆるりとせよ、との皇帝陛下のお言葉でございますわ。
お風呂になさいますか?」

「そうね。
そうするわ。」

私はそう言ってマリアについていき、部屋に入った。

薄紫色の絨毯に、宝玉で彩られた机や椅子、革張りのソファ、薄紫の天蓋付きの大きなベッドが寝室にはある。
ま、住めれば家具なんてどうでも良いわ。

私はレイに手伝ってもらってお風呂に入ることにした。

「ねぇ、レイ、皇帝陛下とはどのような方なのかしら?」

「そ、それは、もう美しくて、金色の髪は我が国の王家だけに受け継がれるとされるもので、艶やかで美しく、瞳は海のように深き瑠璃色にございます。
まだ、お若いながらも、外政、内政に非常に長けた陛下である、と聞き及んでおります。」

まぁ、悪い噂は言えないわよね…

「皇帝陛下は本城にいらっしゃるのかしら?」

「えぇ。
そのはずでございますが、戦いを控えて少しピリピリされていらっしゃるとか…
あ、これは、内緒のお話で…!」

「もちろん、言わないわよ。
それにしても、戦いってどこの国とするのかしら?」

「ベルベット国とでございます。
ベルベット国とは何かと因縁のある関係でございましょう?
何せ隣国でございますから。
今度こそは決着を着けると、張り切っておいでだとか。」

「なるほど…ね。
相手の軍は…」

と言ったところで、マリアがやってきてもうお風呂から上がるように言った。

お風呂から上がり、髪を風魔法で乾かすと、豪華な夕食が並べられた。

「皇帝陛下は明日の夜に御渡りになるとか。
明日は朝から美容デーですわね!」

マリアは張り切っている。

うーん…
初夜…
初夜かぁ…
つまり、そういうことよね?

そっちの方は淡白なので、あまり興味もないのだが、まぁ、寝てれば終わるか。

そして、その日は疲れて居たので、早めに眠ることにした。
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