【完結】皇帝陛下の軍師寵姫
13 無責任な噂話
「エティーナ様ッ!」
そんなある日、マリアが顔面を近づけてど迫力でそう言った。
「何なの、マリア?
外にいるのでは無いのだから、そんなに大きな声を出さなくても聞こえているわ。」
私は少しめんどくさ気にそう言った。
「エティーナ様!」
「だから、何なの?」
「エティーナ様は後宮の、いいえ、この国の噂をご存知ですか?」
はて、何のことだろう?
この国にまつわる噂話ならば、私の耳に入るようになっているはずだが…
全く思いつかない。
「一体何なの?
そんな噂は知らないわ。」
「エティーナ様が皇帝陛下の正妃になる、と言う噂にございます!!!」
私は飲んでいた紅茶を吹き出した。
「はぁぁぁ!?
私が皇帝陛下の正妃にィィ!?」
びっくりし過ぎて言葉も出ないとはこの事である。
しかし、マリアは神妙な顔つきで事の次第を説明した。
「エティーナ様?
エティーナ様は、先日、ルードラの街から帰った後、夜の9時頃本城に行かれたそうですわね?」
「え、えぇ…?
確かに行ったわ。
火急の用件があったせいね。
それがどうかして?」
「その時に皇帝陛下のお部屋に泊まりませんでしたか!?」
「泊まっ…た…かな?」
そういえば、夜も遅いし、ルードラの鉱山の事などについて話し合っていた気がする…
「まさ…か…!」
「その、まさかでございますわ!
皇帝陛下が後宮の姫君を自分のお部屋に泊める事はありません!
それが、許されるのは正妃だけなのです!!!」
マリアが力強く言った。
「そ、そ、そんな!?
私はただ夜も遅いから泊まっただけで、深い意味など…」
「でも、皇帝陛下はその意味を知った上で、エティーナ様を泊められたはずですわ!
これは…
皇帝陛下からの求婚なのでは!?」
「まさか!
そんな深い意味など無いわよ!」
私は言うが、もはや後の祭りだった。
後宮では、エティーナ様!と姫君達に頭を下げられるし、一度立った噂というものはそうそうは消えないのだ。
私は困り果てていた。
なぜなら、今の生活に不満は無いし、正妃になるつもりなど毛頭なかったからだ。
そんな中皇帝陛下が私の部屋を訪れた。
「何か大変な事になったようだな。
くっくっ。」
笑いを堪えてながら言う皇帝陛下は確信犯のようにも思えた。
「陛下!
笑い事ではございませんわ!
私は本当に困っていて…」
「何故困る?
俺の妃になれるやも知れぬのだぞ?
困る理由などありはしないだろう。」
皇帝陛下は言う。
「そ、そ、それは…
正妃ともなれば、お互いの気持ちが大事にございます!
勢いに任せて、噂話に身を任せる話ではございません!!!」
私は少し強めにそう言った。
「お互いの気持ち…な…」
皇帝陛下は渋い顔でそう呟くだけだった。
「とにかく陛下からも無責任な噂話を流さぬよう、注意喚起してくださいませ。」
「わかったわかった。
全く、いつ実る事やら…」
「は?」
「何でも無いわ。
あほう。」
「なっ!?
あほうと言う方があほうに…」
皇帝陛下はその日は泊まらずに帰って行かれた。
そんなある日、マリアが顔面を近づけてど迫力でそう言った。
「何なの、マリア?
外にいるのでは無いのだから、そんなに大きな声を出さなくても聞こえているわ。」
私は少しめんどくさ気にそう言った。
「エティーナ様!」
「だから、何なの?」
「エティーナ様は後宮の、いいえ、この国の噂をご存知ですか?」
はて、何のことだろう?
この国にまつわる噂話ならば、私の耳に入るようになっているはずだが…
全く思いつかない。
「一体何なの?
そんな噂は知らないわ。」
「エティーナ様が皇帝陛下の正妃になる、と言う噂にございます!!!」
私は飲んでいた紅茶を吹き出した。
「はぁぁぁ!?
私が皇帝陛下の正妃にィィ!?」
びっくりし過ぎて言葉も出ないとはこの事である。
しかし、マリアは神妙な顔つきで事の次第を説明した。
「エティーナ様?
エティーナ様は、先日、ルードラの街から帰った後、夜の9時頃本城に行かれたそうですわね?」
「え、えぇ…?
確かに行ったわ。
火急の用件があったせいね。
それがどうかして?」
「その時に皇帝陛下のお部屋に泊まりませんでしたか!?」
「泊まっ…た…かな?」
そういえば、夜も遅いし、ルードラの鉱山の事などについて話し合っていた気がする…
「まさ…か…!」
「その、まさかでございますわ!
皇帝陛下が後宮の姫君を自分のお部屋に泊める事はありません!
それが、許されるのは正妃だけなのです!!!」
マリアが力強く言った。
「そ、そ、そんな!?
私はただ夜も遅いから泊まっただけで、深い意味など…」
「でも、皇帝陛下はその意味を知った上で、エティーナ様を泊められたはずですわ!
これは…
皇帝陛下からの求婚なのでは!?」
「まさか!
そんな深い意味など無いわよ!」
私は言うが、もはや後の祭りだった。
後宮では、エティーナ様!と姫君達に頭を下げられるし、一度立った噂というものはそうそうは消えないのだ。
私は困り果てていた。
なぜなら、今の生活に不満は無いし、正妃になるつもりなど毛頭なかったからだ。
そんな中皇帝陛下が私の部屋を訪れた。
「何か大変な事になったようだな。
くっくっ。」
笑いを堪えてながら言う皇帝陛下は確信犯のようにも思えた。
「陛下!
笑い事ではございませんわ!
私は本当に困っていて…」
「何故困る?
俺の妃になれるやも知れぬのだぞ?
困る理由などありはしないだろう。」
皇帝陛下は言う。
「そ、そ、それは…
正妃ともなれば、お互いの気持ちが大事にございます!
勢いに任せて、噂話に身を任せる話ではございません!!!」
私は少し強めにそう言った。
「お互いの気持ち…な…」
皇帝陛下は渋い顔でそう呟くだけだった。
「とにかく陛下からも無責任な噂話を流さぬよう、注意喚起してくださいませ。」
「わかったわかった。
全く、いつ実る事やら…」
「は?」
「何でも無いわ。
あほう。」
「なっ!?
あほうと言う方があほうに…」
皇帝陛下はその日は泊まらずに帰って行かれた。