【完結】皇帝陛下の軍師寵姫
25 丘陵地の戦い
sideファウル
暑い夏の風が吹く中、俺は軍勢を率いて敵軍・シャルナーク軍の本陣へ向かっていた。
汗が滴り、重い装備に染み渡っていく…
しかし、それすらも、俺の血をたぎらせ、戦いのみに没頭させていくものだった…
「陛下!
偵察部隊のワイズが戻って来ました!」
騎士長のベルゼンが俺にそう報告した。
この戦いを制するのは、位置情報…!
俺はそう確信していた…!
だから、偵察部隊には精鋭を揃え、さらに、エスト地方の農民や商人を使って敵の位置をその都度報告させた。
「ワイズ。
敵軍の正確な位置が分かったか?」
「はっ!
敵軍はここから、北西に5km離れた谷に本陣を布陣しています!」
「よくやった!
皆のもの!
これより、臨戦体制に入る!
重装を脱ぎ捨てよ!
敵は北西の谷にあり!!!
油断している今がその時だ!」
俺の指示で次々と鎧兜を脱ぎ捨てる兵士達。
俺もマントを取り、鎧を外した。
そして、忍足でその谷の近くまで進み、いよいよそのときがやって来た。
「全軍!
突撃ぃぃぃいい!」
俺の合図で、全軍が背後より敵の本陣に突撃したのだ。
敵軍の総数は三万…!
残り二万の応援が駆けつける前に将の首を取らねばならぬ!!!
「行け!
行けぇぇぇ!
怯むな!
将の首を取ったものには、褒美を渡すぞ!!!」
そして、敵将シャントスの首を取り、敵軍は離散していった。
敵将の首を取ったのは、ベルゼンであった。
俺はベルゼンに言う。
「よくやった…!
ベルゼンよ。
これで、エティーナとの一戦は挽回した。
この国の宝である騎士長に、褒美を授けよう。」
「はっ!
ありがたき幸せ!」
こうして、シャルナーク軍を大きく破った俺の将として、皇帝としての噂は、大陸全土を駆け巡ったのだった。
俺はワイズにも多量な褒美を渡した。
やはり、位置情報が戦いを制したか…
俺の読みに間違いは無かった…
いや、そんなことを思っては、また、エティーナに驕っている、と責められるやもしれぬな。
僅かに俺は口元を綻ばせた。
そして、エドバ城に帰り着くと、まず第一に、エティーナに会いに向かった。
エティーナは俺の告白を聞いても相変わらずだったが、そんな彼女ですら、彼女らしくて好きだった。
恋の病というものがあるならば、俺は超重症だろうな。
そんな自分がおかしくも、そして、少し嬉しくもあった。
小さな頃から、寄ってくる女は数知れぬ程居たが、恋に落ちたのは初めてだったのだ。
「エティーナ!」
「まぁ!
皇帝陛下!
軍装のままでございますか?」
エティーナは少し驚いている。
「すまぬ…
汗臭かったか…?」
「いいえ、陛下がご無事で嬉しく存じます…」
訂正。
少しはエティーナの態度も変わったかもしれない。
少しだけだが…
今はそれで十分としよう…
暑い夏の風が吹く中、俺は軍勢を率いて敵軍・シャルナーク軍の本陣へ向かっていた。
汗が滴り、重い装備に染み渡っていく…
しかし、それすらも、俺の血をたぎらせ、戦いのみに没頭させていくものだった…
「陛下!
偵察部隊のワイズが戻って来ました!」
騎士長のベルゼンが俺にそう報告した。
この戦いを制するのは、位置情報…!
俺はそう確信していた…!
だから、偵察部隊には精鋭を揃え、さらに、エスト地方の農民や商人を使って敵の位置をその都度報告させた。
「ワイズ。
敵軍の正確な位置が分かったか?」
「はっ!
敵軍はここから、北西に5km離れた谷に本陣を布陣しています!」
「よくやった!
皆のもの!
これより、臨戦体制に入る!
重装を脱ぎ捨てよ!
敵は北西の谷にあり!!!
油断している今がその時だ!」
俺の指示で次々と鎧兜を脱ぎ捨てる兵士達。
俺もマントを取り、鎧を外した。
そして、忍足でその谷の近くまで進み、いよいよそのときがやって来た。
「全軍!
突撃ぃぃぃいい!」
俺の合図で、全軍が背後より敵の本陣に突撃したのだ。
敵軍の総数は三万…!
残り二万の応援が駆けつける前に将の首を取らねばならぬ!!!
「行け!
行けぇぇぇ!
怯むな!
将の首を取ったものには、褒美を渡すぞ!!!」
そして、敵将シャントスの首を取り、敵軍は離散していった。
敵将の首を取ったのは、ベルゼンであった。
俺はベルゼンに言う。
「よくやった…!
ベルゼンよ。
これで、エティーナとの一戦は挽回した。
この国の宝である騎士長に、褒美を授けよう。」
「はっ!
ありがたき幸せ!」
こうして、シャルナーク軍を大きく破った俺の将として、皇帝としての噂は、大陸全土を駆け巡ったのだった。
俺はワイズにも多量な褒美を渡した。
やはり、位置情報が戦いを制したか…
俺の読みに間違いは無かった…
いや、そんなことを思っては、また、エティーナに驕っている、と責められるやもしれぬな。
僅かに俺は口元を綻ばせた。
そして、エドバ城に帰り着くと、まず第一に、エティーナに会いに向かった。
エティーナは俺の告白を聞いても相変わらずだったが、そんな彼女ですら、彼女らしくて好きだった。
恋の病というものがあるならば、俺は超重症だろうな。
そんな自分がおかしくも、そして、少し嬉しくもあった。
小さな頃から、寄ってくる女は数知れぬ程居たが、恋に落ちたのは初めてだったのだ。
「エティーナ!」
「まぁ!
皇帝陛下!
軍装のままでございますか?」
エティーナは少し驚いている。
「すまぬ…
汗臭かったか…?」
「いいえ、陛下がご無事で嬉しく存じます…」
訂正。
少しはエティーナの態度も変わったかもしれない。
少しだけだが…
今はそれで十分としよう…