【完結】皇帝陛下の軍師寵姫

52 忙しい合間

sideファウル

その日、久しぶりに時間が出来た。
最近、俺もエティーナも忙しい。
俺は小規模な戦の遠征やら、他国の式典やらで、駆け回っているし、エティーナは相変わらず街おこしが大変そうだ。

せっかくの空いた時間だからこそ、俺はそれを大切にしたかった。

すると、偶然エティーナと廊下で会った。

「あ、陛下!
お久しぶりでございます。
騎猫隊と騎狼隊の件ですが…」

エティーナは早速仕事モードだ。

「仕事の話はもう良いでは無いか。」

「は?
では、何を話すのですか?」

この戦馬鹿めっっっ!
俺は心の中でそう突っ込む。

「たまには、そ、そうだ、そなたも俺も息抜きが必要だ。
そうは思わぬか?」

「はぁ…
しかし、仕事せずには、する事も無いので…」

「おーっと!!!
こんな所にオペラのチケットが落ちておったわ!
どうする、エティーナ!?」

「オペラのチケットが!?
オペラを建設せよ、との啓示でしょうか!?」

「あほ…」

「なっ!?
あほとは、何ですか!?」

「こうゆう時はな、『あ、陛下、一緒にオペラを見に参りませんか…?』だ!
正解は!」

俺はドヤ顔で言う。

「そんなの陛下が作った正解にございませんか!
ならば、オペラ建設も正解でございます!」

「えぇい!
そんな事を言い争っている場合では無いのだ!
つ、つ、つ、つまり…!」

「つまり?」

「察せぬか!」

「エスパーでないゆえ、分かりませぬっ!」

「で、で、で、で…」

「何ですか?
何か出たのですか?」

「ちがーう!
デートせぬか!?
と、言っておるのだ!!!」

「あぁ…」

「テンションを下げるなっ!」

「しかし…
お互い仕事も山積みでございましょう?」

「そんなのは、イグナードの奴に丸投げすれば良いのよ。」

俺は言う。

そうして、俺たちは忙しい合間を縫ってデートに行く事にした。

馬車にて。

「演目は何にございますか?」

「ふむ、向日葵の娘、というサクセスストーリーらしいな。」

「ふむふむ。」

「え、え、エティーナ…
て、て、手を繋がぬか…?」

「何故ですか?」

「なぜってデートってそう言う物だろう!?」

俺は強引に彼女の柔らかな手を取った。

「もうッ…!」

彼女は少し照れている。

そして、俺たちは向日葵の娘を観た。

俺は笑ったり泣いたりするエティーナばかりをじっと見ていて向日葵の娘なんて、話も分からなかった。

「陛下、観てます?」

「観てる、そなたを。」

「あほ…」

「恋とは人をあほにするものよ。」

「開き直らないでください。」

そして、向日葵の娘はあっという間に終わり、俺たちは夜道を馬車に向かって歩いた。

すると、突然の雨が!

「エティーナ!
その屋根の下に!
俺は急いで馬車を!」

俺が言うと、彼女は俺の手を取って雨の中に出た。

「な、な、なにをっ!?」

「今日は暑いゆえ、雨に打たれるのも悪く無いかと。」

彼女は少女のような悪戯な笑みでそう言った。

「エティーナ…
そなたが好きだ…」

「それは、もう、何度も聞きました。」

「100万回でも言う。
そなたが、好きだ。」

そして、俺たちは雨の中キスをした。
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