【完結】皇帝陛下の軍師寵姫

66 お誘い

私はその日困っていた。
バルド侯爵から、アスレチックプールへ来ませんか?と、お誘いがあったのだ。

行っても良いが、1人じゃなんである。

やはり…
やはり…

誘うべきだろうか?

陛下を…?

私は勇気を振り絞って陛下の執務室に向かった。

「なんだ、エティーナ?
街復興の件か?
軍隊の件か?
戦の件か?」

全く仕事の事しか頭にないとはこの事である。

「いいえ、どれも違います…」

「はて?
では、なんだ?」

「用がなく来てはいけないのですか?」

「はぁ…?
別に構わぬが…
用がないのか?」

「い、いえ、その…
先程、バルド侯爵から電報が届きまして…
ぜひ、アスレチックプールに遊びに来て欲しい…と…
その…」

「ふむ。
それで?」

「なぜ、そんなに鈍感なのですかっ!?」

「そなたにだけは言われたくないわっ!」

「つ、つ、つまり、一緒に行きませぬか?と…」

「なんだ、デートの誘いか。」

「行かぬのですか!?」

「なぜ怒る!?
いや、悪かった、一緒に行こう。」

そうして、無事にバルドの街に向かう事になった。

アスレチックプールに着き、顔パスで中に入った私たちはそれぞれ水着に着替えた。
この世界では、あまり肌を露出しない為、長袖長ズボンの水着である。

「陛下、では参りましょう!」

「まずはどれに行く?」

「まずは、回転プールに入って泳ぎましょう!」

「よし!
勝負だ!」

私たちは回転プールで水に乗り流されたり、泳いだりしながら楽しんだ。

その次にウォータースライダーに乗り、それから、トランポリンで遊んだ。

2人とも童心に返り遊んだのは良いものの…

トランポリンをしている最中に陛下の手が私の胸に当たった。

「きゃあ!
陛下!
胸に当たりましたわ!

すけべ!」

「あ、あ、当たっておらぬわ!」

「いいえ、しっかりと当たりました!」

「えぇい!
胸が小さ過ぎて分からぬわ!」

「なんと言う言い様!?」

「そ、そ、そなたが言いがかりを付けてくるからだろう!?」

私はキレ、陛下とは喧嘩状態で馬車に戻った。

「エティーナ…
怒っておるのか…?」

「暴言を吐かれましたゆえ。
当然にございます!」

「お、俺は、小さい胸の方が好きだぞ…!!!」

「何ですか、それ…?」

フォローのつもりだろうか?

「とにかく俺は、そなたのならば、なんでも良いという事だ!」

「はぁ…」

とりあえずの仲直りをして、私たちはエドバ城に帰ったのだった。

その後、たまに2人でバルドの街のアスレチックプールに行くようになった。
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