【完結】皇帝陛下の軍師寵姫

67 怒りの訪問

「エティーナ様…!」

その日はのんびりとエドバ城の中庭で紅茶を飲んでいると、マリアが私を呼びに来た。

「どうしたの?一体?」

私はマリアが少し慌てているのを見て、そう聞いた。

「それが…
バーバラ男爵がお見えで…
エティーナ様に急用があると…
えらく急がれているご様子で…」

「バーバラ男爵…?」

バーバラの街を治めている男爵だが、一体私に用とはなんだろう?

私は応接間にバーバラ男爵をお通しして、急いで向かった。

「これは、バーバラ男爵様。
お初にお目にかかり…」

「ご挨拶は結構です!
私はリード=バーバラと申します!
軍師姫様?
いいえ、エティーナ様?

私は今猛烈に怒っております!!!」

「は?
…と申されますと…?」

「エティーナ様は様々な街の復興に尽力されておられる。
そうですね?」

「えぇ、まぁ…」

「ルードラに金山・銀山を発掘し、エーラでは北方貿易と南方貿易を、エドルは水田の街として、エストには大病院を、さらに、バルドにはアスレチックプール!、そして、極めつけに、エッティを食の街として復興された!!!
そうですね?」

「はぁ…
よくご存知で…」

私にはまだ話の要点が分からない。

「何故です!?
何故なのですか!?」

「と言われましても…
何が何やら…」

「なぜ、バーバラの街は放置なのですか!?!?!?」

「は…?」

「バーバラの街はそれほど貧しいわけではありませんが、裕福というわけでもありません。
なのに!
バーバラの街には特産品も観光地も無いのです!!!」

「な、な、なるほど…!
つまり、私に街おこしをせよ、と、そうおっしゃる訳ですね?」

「だってひどいじゃありませんか!?
ウチの街以外は復興を遂げてウハウハ…失礼、潤っているのに…
バーバラは…!!!」

「お話は分かりました…
では、洋服店を建ててみてはいかがでしょうか?」

私は提案する。

「は?
洋服店ならば、ドレス屋がたくさんありますが…」

「ズバリ!
ドレスでは無い、第三の洋服!
ですわ!!!」

「はぁ…?」

首を傾げるバーバラ男爵に、私はある型紙を渡した。

それは、シャツ、ブラウス、スカート、ハーフパンツ、と言う、この世界には普及していない物だった。

「その型紙通りに仕立てみてください。
そして、第三の洋服として売り出すのです…!」

私は言い、それから二、三週間後にバーバラ男爵からお礼の手紙が届いた。
こうして、バーバラは洋服の街として復興を遂げたのだった。

めでたし、めでたし…!
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