【完結】皇帝陛下の軍師寵姫

71 仁王立ち

sideファウル

戦から凱旋すると、エティーナが仁王立ちして俺を待っていた。

いやーな、予感…
また、戦馬鹿が発動したのでは無いだろうな…?

しかし、俺の祈りは虚しく俺の予想は的中する。

「陛下!?」

「何だ?
外では無いのだから、そんなに大きな声でなくても聞こえるわ。」

「陛下!
陛下は5国も手中に収めてきました。
まさにエドババーバは強国。
なのに、なぜか今回の戦では苦戦された。

そうですね!?」

「苦戦という程でも無かろう…」

「いいえ、苦戦にございます。
敵国ヤルガータはたった一国のみの軍隊でございますよ?
それなのに、城まで追い詰めながらも、後一歩攻め落とす事ができなかった。」

「大袈裟な!
攻め落としたでは無いか!」

俺は言う。

「笑止千万!
それは私が提案し、ラッセル殿が作った騎竜隊があったからにございます!
それがもしなくば、どうしていましたか!?」

「えぇい!
そなた何が言いたいのだ!?
俺をこき下ろしたいだけか!?」

つい喧嘩口調になってしまう。

「いえ、そうではございません。」

「では、何なのだ?
せっかく勝利して帰ってきたのに、熱い口付けも無いのか!?」

「そんな物はありません!!!

良いですか?
今回手こずった事について冷静に考えてみてください。」

「手こずった事?

城砦都市ゆえ、食料物資がたくさんあってな…」

「そこではございません!!!」

「そう鬼のような顔をするなよ…
じゃあ、なんだ?」

「今回騎虎隊で城門を打ち破ろうとした時に、それができませんでしたね?」

「あぁ!
まさに!
それがあったな!」

「理由は簡単です。
ヤルガ城の城門はオリハルコンで出来ていた為です。」

「ふむ。」

「対して我が国にはオリハルコンを作ることの出来る錬金術師はおりません!」

「つまり…?」

「ヤルガータはエドババーバの属国となりました。
この機会にヤルガータの錬金術師を引き抜くのです。」

「な、なるほど…!」

「ミスリル、オリハルコンの重装が整えば、我が軍に負けは無いでしょう。」

エティーナは言った。

早速ヤルガータから錬金術師を引き抜き、ミスリルやオリハルコンの鎧と兜を作らせた。
こうして、また一歩俺たちエドババーバ軍は最強へと近づいたのだった。
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