【完結】皇帝陛下の軍師寵姫
第10章

76 危険な策

そして、私は正式に正妃となり、その翌日、スーベルシアとエドババーバの最後の戦いが始まった。

最初こそ、互角の戦いを繰り広げていたものの、情勢はエドババーバが不利になる一方だった。

その理由は大きく3つある。

一つは、こちらが騎竜隊を3体しか持たないのに対して、スーベルシアは5体持っている。
二つ目は、聖剣部隊がかなり強い事。
三つ目は、スーベルシアの車懸かりの陣とエドババーバの魚鱗の陣の相性の悪さ。

エドババーバの最初の砦である、バルドが落ちるのも、時間の問題だと言われ始めていた。

陛下は焦り、私もまた焦っていた。

スーベルシアに勝つための策が無いわけでは無い。
だが、かなりの危険を伴う策だった。

それを陛下に進言してみたが、やはり、ダメだ!と一蹴されてしまった。

しかし、勝つにはこれしか無いのだ。

私はその日、こっそりとバルド地方へ向かった。

バルド地方は激戦区だ。
そんなところに行けば命は無いかも知れないが、勝つにはこれしか無いのだ。

陛下!

信じております!

そして、私はスーベルシア軍に捕まった。

「殺すか?」

スーベルシアの将の1人ワイナーが言う。

「待て待て。
エティーナといえば、エドババーバの皇帝が寵愛する姫だ。
上手く行けば、エティーナを餌にエドババーバをおびき寄せられるかもしれん。」

そう、もう1人の将のガルドが言った。

ここまでは予定通りだ。
そして、私はエドババーバの軍の秘密を2人の将に言った。
命乞いの為だと思わせて、私の言う事を信頼してもらわなければならないのだ。

その軍の秘密により、スーベルシア軍はさらに勢いをつけた。

そこで、私はさらなる秘密を口にした。

「エドババーバの南端にあるザルトハック城…
あそこはエドババーバの要です…
あそこを落とされてはエドババーバは落ちたも同然でしょう…」
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