【完結】皇帝陛下の軍師寵姫

80 後日談②

私は試行錯誤して、チョコレートを作った。
もちろん、こちらの世界には存在しないものだから、売ろうと思えば莫大な儲けが期待できるだろう。

だけど、今はファウルと私の為だけに…

そう思ってチョコレートケーキを作り始めた。
何度も失敗し、残骸は山となり、そして…

やっと、一つのチョコレートケーキが完成した!

♦︎♦︎♦︎

そして、2月14日のその夜。

「ファウル…
あなたにプレゼントがあるのよ。」

「プレゼント?
はて、今日は俺の誕生日だったか?」

あほ…
自分の誕生日すら覚えて無いのか…

「違うけど、今日はバレンタインデーなのよ!」

「バレンタインデー?
なんだそりゃ、新たな陣形か何かか!?」

「違います!
戦の事は一旦横に置いておいてください!」

「じゃあ、なんだ?
その、バレンタイン…デー…というのは?」

「それは…
女性が愛しい男性にチョコレートをプレゼントする日なの…」

「チョコレート?
何だそれは?」

「もういいわ!
とにかく受け取って!」

私はラッピングした箱を取り出した。

「チョコレートなぁ?
食べ物のようだが…」

「はい、フォーク。」

「あぁ、すまぬ。」

ファウルが一口それを食べると…

「こ、こ、これは美味い!
なんて美味しい菓子なんだ!!!」

「ふふふ。」

「しかし何でこれを2月14日に男に渡すのだ?」

「だから!
聞いてたの?
私の話!
これはね、その、あなたの事が好きです、という女性からの告白なのよ…」

「ほぉ?
なぁ、エティーナ?」

「はい?」

「俺にはチョコレートよりも食べたいものがあるのだが…
それは食べさせてもらえるのだろうか?」

「な、な、なんなの?」

「本気で聞いているのか?」

「た、た、食べても良いです…!」

私が真っ赤になりながらそう言うと、ファウルは私をヒョイと抱き上げた。

「ファ、ファウル!
まだ、チョコレートが!」

「後で食う。
今はそなたを食べたい。」

「と、と、溶けてしまうわよ?」

「その前にそなたを溶かしたいのよ。」

そうして、ファウルは私に甘い甘い口付けを落とした。
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